ストーンヘンジに新説...先住民を統合し「祖先・宇宙との絆を祝福する」象徴だった?
それにしても重い巨石をどうやって運んだのか。ネイチャー論文によると、先史時代のブリテン諸島には広範囲に及ぶ交易網があり、優れた輸送手段が開発されていた可能性があるという。祭壇石は海路で運ばれたようだ。
論文はストーンヘンジの祭壇石とスコットランド北東部に点在する環状列石の祭壇石との類似性を指摘。ストーンヘンジの祭壇石は、スコットランド北東部の住民からソールズベリー平原の住民に同盟の証しとして寄贈されたのではないかと推測している。
ストーンヘンジに祭壇石がもたらされたのは紀元前2500〜2000年ごろとみられている。これはヨーロッパ大陸からブリテン諸島に異文化集団が流入した時期でもある。新参者の流入で先住民の統治の安定性が揺らぎ、それを強化するために祭壇石がもたらされたとも考えられる。
だとしても、先住民の団結の試みはむなしい抵抗に終わったようだ。ストーンヘンジがほぼ現在の形になった紀元前1600年ごろ、先住民の末裔たちはブリテン諸島各地からほとんど姿を消していた。
【参考文献】
Parker Pearson, M., Bevins, R., Bradley, R., Ixer, R., Pearce, N. & Richards, C., (2024) "Stonehenge and its Altar Stone: the significance of distant stone sources", Archaeology International 27(1), 113-137. doi: https://doi.org/10.14324/AI.27.1.13