世界中の90%以上を生産...「半導体の盾」TSMCは台湾を守れるのか? むしろ中国を駆り立てるのか?
CHOKE POINT FOR CHINA
天井の電動レールにつり下げられた小型のロボット機械が、伸縮可能なワイヤの上に部品を不規則に落としていく。その動きはまるで目的意識を持つ人間のようだ。工場の外観はシンプルで特徴のない建物だが、内部は活気があふれ、動きが止まることはない。
チップ製造に徹底して特化したTSMCは1991年以降、収益を伸ばし続けている。2024年5月には時価総額7300億ドルを超え、世界第10位の企業に成長した。わずか10年ほどでその価値は10倍に膨れ上がった。
チャンは05年にCEOを退いた後、09年に復帰。18年に完全に引退した。
23年に90代半ばでニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに応じた際は、18年に引退したタイミングについて、「技術面のリーダーシップを達成したと確信した......今後もそれを失うことはないだろう」と語っている。
中国が明らかに欲しがっているものを生み出す上で彼は重要な役割を果たした。
アメリカ、オランダ、日本、韓国、台湾という半導体生産の同盟関係の優位性について、同じインタビューでこう語っている「われわれが全ての難所を掌握している。こちらが中国を締め付けようと思えば、彼らは本当に何もできない」
「シールド」は機能するのか
中国は産業の成長を加速させるために多大な努力を重ねてきたが、依然としてTSMCの技術に大きく依存している。ただし、政治と同じくらい技術的な要素も大きい。半導体ビジネスは最小化の競争でもある。最先端のチップを製造するために求められる精度は驚異的だ。