世界中の90%以上を生産...「半導体の盾」TSMCは台湾を守れるのか? むしろ中国を駆り立てるのか?

CHOKE POINT FOR CHINA

2025年2月13日(木)14時38分
ケリー・ブラウン(英キングズ・カレッジ・ロンドン中国研究所所長)

台南市の半導体工場

台南市の半導体工場 LAM YIK FEIーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

TSMCは2023年までに、世界の最先端半導体の90%以上を生産するまでに成長した。「現代エレクトロニクスの頭脳」と呼ばれる半導体がなければ、スマートフォンもコンピューターも高度な医療診断機器も存在しなかったはずだ。

これが地政学を扱ったサスペンスフィクションなら、ただでさえ複雑な中国と台湾の両岸関係にこの要素を追加するのはプロットのひねりすぎと見なされるだろう。


中台の争いは地政学上の問題であるだけでなく、地理経済上の問題でもある。今では「半導体戦争」と呼ばれる両者の関係は、この難問の新しい、しかし極めて重要な要素だ。

一見、全ては台湾の意図的な戦略に基づく計画の結果に思える。だが経済発展の初期段階における台湾の目的は、単に自給自足率を高め、少しでも豊かになることだった。

新竹サイエンスパークが創設された時点では、経済的成功が持つ国家安全保障上の重要性を意識した明確な青写真は描かれていなかった。それがはっきりした形を取るのは、もっと後になってからのことだ。

中国本土を追われた国民党が中華民国政府を樹立した1947年、台湾に先進的な産業はほとんどなかったが、半世紀に及ぶ日本統治の名残である鉄道、道路、港湾などのインフラはそれなりに整っていた。

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