全過程完全ロボット操作によるクローン豚誕生 中国の科学者が世界初成功
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写真はイメージ Wicki58-iStock
<世界最大の豚肉消費国である中国の胃を支える、豚肉の自給自足につながる可能性>
今年3月に、天津の南開大学人工知能学院趙新(ジャオ・シン)教授の研究チームは、普通の「代理出産」の雌豚が110日の妊娠期間を経て、7匹のクローン純血種デンマーク・ランドレースを出産させたことを明かした。香港英字紙サウスチャイナモーニングポストは、この開発は、世界最大の豚肉消費国である中国が豚肉を、輸入頼みの現状改善につながる可能性を報じた。
さらに、クローン豚誕生を成功させたことで、ロボットを使って、クローン豚を量産するプロセスをシステム化する体制にこぎつけたという。プロセスの開発にあたったチームメンバーでのLiu Yaoweiは、ロボットを使って豚のクローンを作るプロセス開発に成功したと発表している。
技術的な詳細を報告する査読付き論文は、近々『Engineering』誌に掲載される予定だ。
人間の操作は一切なし
このシステムの開発メンバーであるLiu Yaoweiによると「クローン作りの各ステップは自動化されており、人間の操作は一切加わっていない」
そのため、クローン豚の誕生に関わる人為的ミスの可能性はゼロに限りなく近づく。人の手が入ると、複雑なクローン化プロセスを行う際に細胞を傷つける恐れがあるが、完全ロボット化された場合、クローン化プロセスの成功率も上がるという。
中国農業科学院の元研究員で、2005年に中国初のクローン豚の生産を手伝った潘伝科氏は、この自動化システムがうまくいけば、どの企業や研究機関でも購入できる「クローンキット」に発展し、労働集約的で時間のかかる手動クローン生産から科学者を解放できるかもしれない、と語った。