全過程完全ロボット操作によるクローン豚誕生 中国の科学者が世界初成功
研究者の負担が大きいクローニング
成都にあるクロノガン・バイオテクノロジー社の創業者パン氏は、以前は毎日1000以上のクローンを手作業で作っていたという。この作業は非常に時間がかかり複雑で、その結果、腰痛を発症してしまったそうだ。
実験室で生存可能な胚のクローンを作る、最も一般的な技術は体細胞核移植と呼ばれるもので、顕微鏡下で行われる手間と時間、そして集中力のいるプロセスである。
体細胞核移植には、卵細胞と体細胞の両方が必要で、後者はクローン化する動物から採取される。卵細胞から核を取り出し、体細胞の核と入れ替える。
2017年以降、制御アルゴリズム改善に注力
2017年、南海大学のグループはロボットを使って世界初のクローン子豚を作出したが、当時は、卵細胞の核の除去を含むプロセスの一部で、まだ人間の手が必要だった。
その後、ロボットの制御アルゴリズムを改良し、現在ではこの作業を自動的に行えるまでに改善させた。
Liu Yaoweiによれば、過去5年間で、クローン胚の開発の成功率は手作業では10%であるのに対し、ロボットでの成功率は、21%から27.5%に向上させることができたという。
「AIを搭載したシステムは、細胞内のひずみを計算し、ロボットに最小限の力でクローン作製を完了するよう指示できるため、人間の手による細胞の損傷を減らすことができます」
Liu Yaoweiは、米国やその他の欧米諸国からの輸入制限に振り回され豚肉を定供給できない懸念の中で、世界最大の豚肉消費国である中国の胃を支える、豚肉の自給自足につながる可能性を抱いている。
先出のパン氏は、ロボットクローンの実用化については、「産業界や一般市民の生活に大きな影響を与えることは間違いない」と期待を寄せている。
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