最新記事

中国

全過程完全ロボット操作によるクローン豚誕生 中国の科学者が世界初成功

2022年6月2日(木)16時08分
佐藤太郎

写真はイメージ Wicki58-iStock

<世界最大の豚肉消費国である中国の胃を支える、豚肉の自給自足につながる可能性>

今年3月に、天津の南開大学人工知能学院趙新(ジャオ・シン)教授の研究チームは、普通の「代理出産」の雌豚が110日の妊娠期間を経て、7匹のクローン純血種デンマーク・ランドレースを出産させたことを明かした。香港英字紙サウスチャイナモーニングポストは、この開発は、世界最大の豚肉消費国である中国が豚肉を、輸入頼みの現状改善につながる可能性を報じた。

さらに、クローン豚誕生を成功させたことで、ロボットを使って、クローン豚を量産するプロセスをシステム化する体制にこぎつけたという。プロセスの開発にあたったチームメンバーでのLiu Yaoweiは、ロボットを使って豚のクローンを作るプロセス開発に成功したと発表している。

技術的な詳細を報告する査読付き論文は、近々『Engineering』誌に掲載される予定だ。

人間の操作は一切なし

このシステムの開発メンバーであるLiu Yaoweiによると「クローン作りの各ステップは自動化されており、人間の操作は一切加わっていない」

そのため、クローン豚の誕生に関わる人為的ミスの可能性はゼロに限りなく近づく。人の手が入ると、複雑なクローン化プロセスを行う際に細胞を傷つける恐れがあるが、完全ロボット化された場合、クローン化プロセスの成功率も上がるという。

中国農業科学院の元研究員で、2005年に中国初のクローン豚の生産を手伝った潘伝科氏は、この自動化システムがうまくいけば、どの企業や研究機関でも購入できる「クローンキット」に発展し、労働集約的で時間のかかる手動クローン生産から科学者を解放できるかもしれない、と語った。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ、中国企業3社を制裁リストに追加

ワールド

トランプ米大統領の優先事項「はっきりしてきた」=赤

ワールド

イスラエル、ガザで40カ所空爆 少なくとも30人死

ワールド

米がウクライナ和平仲介断念も 国務長官指摘 数日で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 5
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 6
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 7
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 8
    ノーベル賞作家のハン・ガン氏が3回読んだ美学者の…
  • 9
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 10
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中