米で審議中のIT改革法案、GAFAは「嘘」をついている
BIG TECH CRIES WOLF
IT業界の改革法案は超党派の支持を得ている(写真は米下院司法委員会の反トラスト法に関する公聴会にリモートで参加したアマゾンのジェフ・ベゾスCEO、2020年) GRAEME JENNINGS-POOL-REUTERS
<グーグルやアマゾンは新たな規制により「便利なサービスがなくなる」と脅すが、むしろ業界を透明にして消費者を救う正攻法だ>
IT業界とその競争の改革案として、ここ10年で最も実質的とも言える「米国イノベーション・選択オンライン法案(AICO)」が上院で審議中だが、中間選挙のカオスに全てがのみ込まれる前に通過するかどうかは微妙なところだ。
グーグルやアマゾンなどビッグテックは、この法案が自分たちの収益を脅かすことを阻止しようと、ロビー活動に精を出している。
しかし、改革に対する超党派の支持を切り崩すことができず、法案の内容について誤った情報を広めている。混乱を起こし、時間切れになるまで法案の投票を遅らせようという戦略だ。
ビッグテックの主張の1つは、この法案によって、みんなのお気に入りの便利なサービスがなくなるというもの。アマゾン・プライムやグーグルマップが消滅するという。
しかし、法案を読んでみれば、これらのサービスは生き残るだけでなく、明らかにより良くなるはずだ。
例えば、法案はアマゾンに対し、「競争を著しく阻害する」方法でサードパーティーの販売業者(マーケットプレイスの出品者)より自社製品を優遇することを禁止する。
つまりアマゾンはその巨大な力を使って、アマゾンに依存している中小企業を犠牲にして自社製品やサービスを優先させてはいけない。単純な話だ。
私たちはアマゾンの検索と表示機能を頼りに、探している商品を最良の価格と入手方法で見つけている。アマゾンが検索アルゴリズムを所有しているからといって、自分たちが最も稼げる商品を優遇し、より安く、より適切に、より早く出荷される商品を消費者の目から隠すことは、販売者と利用者にとって不公平だ。
しかし、商品がアマゾン・プライムの対象であることや、アマゾンが提供するお得な価格についてアマゾンが消費者に伝えることについては、法案は禁止していない。そうした情報の提供は競争を阻害するというよりも、むしろ促進する。
ただし、競合他社をトップページから追い出して、消費者が他のより良い選択肢を見ることができないようにしてはならない。
ビジネス面では、サードパーティーの販売業者は、商品を販売するプラットフォームとしてアマゾンに登録する。アマゾンは広告やフルフィルメント(倉庫保管や出荷、配送などの業務)代行など付加的なサービスを有料で提供する。これらのサービスは商品価格の40%以上になることもある。