フェイスブックやインスタ、偽ブランド品販売の穴場に

米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)はこのところ電子商取引に力を入れているが、同社のアプリを利用してグッチやシャネルなど高級ブランドの偽造品を売る行為が後を絶たず、「もぐらたたき」に追われている。写真はインスタグララムのアプリ。2021年7月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)
米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)はこのところ電子商取引に力を入れているが、同社のアプリを利用してグッチやシャネルなど高級ブランドの偽造品を売る行為が後を絶たず、「もぐらたたき」に追われている。
学者や業界団体、偽造品調査専門家らへの取材により、メタ傘下のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「フェイスブック」、写真投稿アプリ「インスタグラム」、メッセージアプリ「ワッツアップ」が、偽造品業者にとって販売の穴場になっている実態が浮かび上がった。
民間調査会社・クロールのマネジングディレクター、ベネディクト・ハミルトン氏は「フェイスブックとインスタグラムは、偽造品を一般人に売る主な市場だ。10年前には(電子商取引企業)イーベイ、5年前にはアマゾンがそうした場だった」と言う。
ソーシャルメディア分析会社のゴースト・データが中心となってまとめ、ロイターが独占入手した調査結果によると、売られている偽造高級ブランド品はグッチ、ルイヴィトン、フェンディ、プラダ、シャネルなど幅広い。
2021年6─10月の調査では、フェイスブック上で活動している偽造品業者のアカウントは2万6000件余り、インスタグラムで2万件を超えていた。インスタグラムの件数は前年より増えたが、2019年に記録した約5万6000件からは減っている。
21年に特定されたアカウントの約65%は中国に拠点を置いており、続いてロシアが14%、トルコが7.5%の順だった。
メタは最近、広告のための個人行動履歴の追跡を制限されたほか、ユーザーの伸び減速にも直面。このため収益拡大に向けて電子商取引サービスに最も力を入れており、偽造品販売には厳しく立ち向かう姿勢を示す。
インスタグラムによると、ディオールやバレンシアガ、ベルサーチなどがインスタのショッピング機能を採用しているほか、オスカーデラレンタやバルマンはアプリ内精算機能も使っている。
そうしたメタを悩ませ続けるのが、アプリを利用して偽造品を売ろうとするユーザーの存在だ。広報担当者は「新たなテクノロジーには偽造品販売と不正行為の問題がつきまとう」と述べ、日々対応を改善していると付け加えた。
犯罪者の隠れ家
定価5000ドル以上のハンドバッグを100ドルで買う消費者のほとんどは、自分が偽造品を買っているのを分かっている。だが、被害はブランドの売り上げやイメージにも及ぶほか、製品の安全性、組織犯罪との関わりも懸念されると専門家は言う。