フェイスブックやインスタ、偽ブランド品販売の穴場に
メタがイーベイやアマゾン・ドット・コムなどの電子商取引サイトと異なるのは、閉鎖空間における投稿、ダイレクトメッセージの送信、インスタグラムの「ストーリーズ」など時間がたつと消えるコンテンツの利用など、SNS特有とも言える複数のルートを犯罪者に提供してしまう点だ。
国際偽造撲滅連盟のバイスプレジデント、ラーラ・ミラー氏は「偽造品業者にとって、格好の隠れ家が大量に生まれてくる。われわれは追い付くのに必死だ」と言う。
ゴースト・データの報告書によると、偽造品業者はワッツアップの「ビジネスプロファイル」オプションで利用できる「カタログ」機能などを使って製品を展示している。
ゴースト・データの創業者、アンドレア・ストロッパ氏は、外部サイトにリンクを貼るのではなく、メタのアプリ内で偽造品の販売手続きをすべて済ませる傾向が強まっていると言う。
一部の高級ブランドは、電子商取引サイトにせよソーシャルアプリにせよ、主要なオンラインプラットフォームが偽造品販売をうまく防げない可能性を疑っている。
欧州連合(EU)欧州委員会は偽造品販売の撲滅に向け、ブランド側と、メタを含む電子商取引サイト側との協力を強化する取り組みを行っているが、シャネルやラコスタは2020年、効果がないとして脱退した。
シャネルのフィリップ・ブロンディオー最高財務責任者(CFO)は昨年のインタビューで、フェイスブックやインスタグラムが「高級品を売るのに適した環境だとは思わない」と述べている。シャネルは化粧品と香水しかオンラインで販売していない。
経済協力開発機構(OECD)は、2020年から21年にかけての電子商取引ブームが偽造品のオンライン販売急増につながったと指摘。学者らは、コロナ禍中に不正行為が急拡大したが、欧米の法制度は対応できていないとしている。
シャネル、グッチ、プラダの3社は、昨年中に偽造品業者によるソーシャルメディアの投稿を数十万件発見し、削除させたことを明らかにした。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は当局への開示書類で、2020年に偽造品対策に3300万ドルを費やしたことを明らかにしている。同社はコメントを控えた。
メタの対応
メタの法律責任者はロイターに対し、電子商取引サービスの強化に際しては偽造品の取り締まりが鍵を握ると述べた。
同社は昨年10月、ブランドが投稿や広告、商取引機能内の偽造品を検索、報告するツールの最新版を導入した。また、違反行為を巡って苦情があれば通常、24時間以内に対応するとしている。
(Elizabeth Culliford記者 Silvia Aloisi記者)
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