人類の未来をつくり出した「7年間一度も座ったことがない男」:AI誕生秘話
ジェフリー・ヒントンは、ディープマインドの創設者であるデミス・ハサビスを、第二次世界大戦中にマンハッタン計画で米英カナダの技術者や科学者を取りまとめ、最初の原子爆弾を作ったロバート・オッペンハイマーになぞらえている。
「オッペンハイマーがマンハッタン計画を主導したように、ハサビスはアルファ碁を主導した。もしほかの人間が主導していたら、アルファ碁があれほど早くあれほど見事に完成することはなかっただろう」と。
時期は前後するが、2014年にはイーロン・マスクが、ディープマインドのような研究所で人工知能が驚異的な速さで進歩していることに、懸念を表明している。
「ディープマインドのようなグループに直接かかわる機会でもないかぎり、それがどれだけ速いかはわからないだろう。指数関数的な速さで進歩しているのだ。5年以内には、何かひどく危険なことが起きる可能性がある。長くても10年以内には。私は自分の知らない何かについて、でたらめを言って脅かしているわけではない......」
AIがもたらす負の側面にも目を向けるべきだとするのは、もちろんマスクだけではない。この技術があれば、フェイクニュースをAIが勝手に生成し、広く拡散してしまうことだって十分に考えられる。
無邪気に科学の発展を喜ぶことができないのは、歴史が証明している。AIは果たして人類にとって最良のものなのか。それを考えるのは人間の、あなたの仕事である。
『ジーニアス・メーカーズ――
Google、Facebook、そして世界にAIをもたらした信念と情熱の物語』
ケイド・メッツ 著
小金輝彦 訳
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