フェイスブックに内部告発「ザッカーバーグが知っていたこと、やらなかったこと」
What Zuckerberg Knew
自ら生んだ怪物への責任それどころか、彼は今年、議会でインスタグラムの若いユーザーへの影響を尋ねられて「メンタルヘルスにいい効果がある」と述べ、13歳未満向けのインスタグラムを開発する計画について言及している(その後、保護者や専門家の意見をさらに取り入れるとして開発は中断)。
ザッカーバーグは、若年層に有害なインスタグラムの環境を改めるための対策を1つだけ採用している。
今年、フェイスブックとインスタグラムは「プロジェクト・デイジー」と銘打ち、試験的に「いいね」の数を表示しなかった。
前述の社内プレゼンでは、この対策で事態は改善しないと示唆されていた。それでも少なくとも表面上は対策を取っているように見えるという理由で幹部たちは採用を進言したと、WSJは伝えている。
ハウゲンのリークによれば、提案されていた対策にはユーザーがアプリ利用を「小休止」できるようにする選択肢を設ける案もあった。そうすることで、若いユーザーがお互いを比べて落ち込んでしまう不健康な「アリ地獄」から脱出できるというのだ。
有効な一手に思えるが、ユーザーエンゲージメントを実際に停止させることになる。
インスタグラムがこの対策の導入を発表したのは9月末。WSJによる一連の報道の後だった。ザッカーバーグがこの決定に関わったかは定かではない。
ザッカーバーグが正しい行いをしたこともある。
彼はかねて医療に関する誤情報対策には積極的で、反ワクチン投稿に関しても同様だった。3月には、同社のプラットフォームを、人々にワクチン接種を促すツールにすると宣言。医療機関と共同で信頼性の高い情報の拡散に努め、新型コロナウイルス関連の投稿に関しては厳格な基準を適用した。
それでも、反ワクチン活動家はフェイスブックを存分に利用できたようだ。
社内調査によると、ワクチン関連のコメントのうち41%はワクチン接種を阻止しようとするものだった。対策は不十分だったと言える。投稿のチェックシステムにコメントを監視する機能がないことも一因だ。
反ワクチン対策の失敗は、ザッカーバーグが作り上げた巨大なシステムが彼の手に負えなくなっていることを如実に示した。しかしフランケンシュタイン博士に自らが生み出した怪物に対する責任があるとすれば、ザッカーバーグも同様だろう。
フェイスブック社は「指標によってほとんどの決定がなされる」組織で、「誰かが一方的に責任を負わされることもない」と、ハウゲンは議会で証言した。
しかし彼女が言うように、そうした組織をつくる決定を下した責任が誰にあるかは明らかだ。
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