注目高まる糞便移植、健康な便が腸疾患に効く?
THAT DOO-DOO THAT YOU DO SO WELL
一方、移植用の便を保存する糞便バンク「オープンバイオーム」のザイン・カッサムは、PETAのキャンペーンに首をかしげる。確かに食事内容は便の質に影響を与えるが、それはある人が便のスーパードナーになり得るかどうかを判定する決定打にはならないからだ。「完全菜食の34歳だろうと、ハンバーガーに目がない22歳だろうと、CDIとの闘いに役立つ健康なドナーなら誰でも歓迎する」
食生活と便の関係は微妙
オープンバイオームは便のドナーを募集・選抜し、臨床での使用に備えて便を冷凍保存している。しかし、糞便移植という治療法についてはまだ未知な点が多い。
「CDIの患者には、健康体であればどんな人の便でも有効らしい。しかし潰瘍性大腸炎などでは、ドナーによって効果に差が生じるという報告もある」と、カッサムは言う。
適切なドナーを見つけるのは難しい。カッサムの調査では、ドナー候補者459人中、臨床検査に合格して便を提供する段階まで来たのは27人にすぎなかった。
さらにカッサムは登録ドナーの食生活を分析し、結果を平均的アメリカ人のそれと比べてみた。すると「食物繊維がやや多いという点を除けば、登録ドナーと平均的アメリカ人の食生活に大差はない」ことが分かったという。肉食に罪はないのだ。
<本誌特別編集ムック「世界の最新医療2020」より>
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