ADHDに「倫理に反する。費用もかかる」救世主が現れた?
RISKY BUSINESS
別の医師も匿名を条件に、ここ数年で約30人の患者にTMSを実施したと本誌に語った。「勤務先のクリニックは富裕層向けで、多くの患者が保険外診療を受けていた。だから可能だった」
しかしボスらは、リスクが大き過ぎると考える。TMSで脳の特定部位の機能は改善しても、別の部位に悪影響が出るかもしれない。脳が未発達な子供の場合は特に心配だ。治療効果が科学的に証明され、危険はないとする十分なデータが集まるまでは「子供にTMSを受けさせるべきではない」と、ボスは強く訴える。
TMSも無痛ではない。けいれん発作のリスクもある。「ハンマーで頭をたたかれる感じ」だったと、ゲッタも言う。それでも治療を続けたのは「魔法みたいに効いたから」だ。「授業も人の話も聞けるようになって、まともな人間になれた気がした」
少なくとも、ゲッタの症状には有効だったようだ。
<2019年3月19日号掲載>
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