認知症予防と地域活性化を同時に...Googleも注目、ベスプラ「脳にいいアプリ×健康ポイント」とは?
グローバルな認知症予防へ
ベスプラがこのサービスを立ち上げた背景には、代表取締役CEOである遠山陽介氏の強い思いがある。遠山氏は家族が認知症を患った経験から、認知症予防の重要性を痛感した。
「認知症を予防するために、自分でも何かできることがあるのではないかと考え、サービス開発に取り組みました。いわゆる『健康アプリ』ですと、健康への関心の薄い人が使わないため、ポイントを付与することによって、より多くの方に利用していただき、地域社会全体で健康促進することを目指しています」(遠山氏)
サービスを開発する際、最初に乗り越えなければならなかった壁は、「認知症を予防するための具体的な方法」を確立することだった。
現在の脳科学では、「運動」「食事」「脳刺激」「ストレス緩和」「社会参加」の5要素が認知症予防に効果的だと言われている。同社のサービスは、これらすべてを組み込んだものだ。
ベスプラは、学術機関や医師の協力を得ながら研究を重ね、本当に認知症予防に役立つアプリの仕様をまとめていった。
数年にわたる京都大学との共同研究を経て、今年5月には「ベスプラのアプリ活用が中高年の認知機能を高める」ことを示す論文も発表された。
同社の取り組みは、2017年に内閣府の「BHQチャレンジ」(脳の健康促進効果のある非医療品分野の製品を科学的観点から評価する)で科学者審査員賞を受賞したことを皮切りに、2022年にはGoogle社のスタートアップ支援プログラム「Google for Startups」、2023年には東京都の支援プログラム「X-HUB TOKYO GLOBAL STARTUP ACCELERATOR OUTBOUND PROGRAM」に採択されるなど注目を集めている。
今年10月には政府が進める「日本健康会議2024-健康でいられる地域・まちづくり表彰」にて、ベスプラのサービスを活用した八王子市(八王子てくてくポイント事業)が最優秀賞を受賞。また現在は、海外展開に向けた第一歩として、米シリコンバレーでも実証実験を行っている。
健康アプリとポイント制度の掛け合わせで健康促進と地域活性化の実現を目指すべスプラの「脳にいいアプリ×健康ポイント」。
SDGsの「すべての人に健康と福祉を」「住み続けられるまちづくりを」「働きがいも経済成長も」など、複数の目標にアプローチできるこのサービスは、絡み合う社会課題を同時に立て直す取り組みとして、今後も国際的に注目されていくだろう。
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