最新記事
SDGsパートナー

「海運の脱炭素化」を牽引...今治造船、瀬戸内海で進化する「持続可能な輸送」

2024年11月21日(木)13時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
ゼロエミッション船のフラッグシップ(7000台積みLNG燃料自動車運搬専用船)

ゼロエミッション船のフラッグシップ(7000台積みLNG燃料自動車運搬専用船)

<世界の物流を支える海運業界では、環境負荷軽減を目指す取り組みが進んでいる。2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを目標に、国内最大手の今治造船株式会社は、代替燃料船の開発や燃費効率の向上を通じ、持続可能な海上輸送の実現を目指している>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

船が支える持続可能な物流

私たちの生活を支える食料や物資のほとんどは船で運ばれている。日本の貿易量の99.6%、原油や石炭などのエネルギー資源にいたってはほぼ100%を海上輸送が占める。海運は、日本のみならず世界の物流に欠かせない基盤だ。

船舶は燃料消費による環境負荷のイメージを持たれがちだが、実際には1トンの貨物を1キロ運ぶ際のCO2排出量は、飛行機の140分の1、トラックの27分の1と、他の輸送手段に比べて圧倒的に少ない。船は、環境に優しい輸送手段と言える。

一方で、輸送量の増加に伴い、地球環境への影響も懸念されている。このままでは、2050年には国際海運のCO2排出量が世界全体の7%に達すると予測されている。

こうした課題に対応するため、愛媛県の今治造船株式会社は、環境配慮型船舶の建造を進めている。同社は1901年の創業以来、「船主と共に伸びる」という経営理念の下、2940隻を超える船を世界に送り出してきた。現在では建造量で日本一を誇り、世界でもトップクラスの造船会社である。

船舶のCO2排出量を今以上に削減するため、今治造船は多角的なアプローチを進めている。その一例が船舶の大型化と低速化だ。かつては荷物を迅速に運ぶことが重視され、大型エンジンを搭載して大量の燃料を消費する設計が主流だった。しかし現在では、一度に大量の貨物を運ぶことで輸送効率を高める方向へシフトしている。これにより、船体の大型化が進む一方、速度の追求が減少し、エンジンの小型化が可能となった。結果として、燃料消費量の削減とCO2排出量の抑制につながっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ和平案、ロシアは現実的なものなら検討=外

ワールド

ポーランドの新米基地、核の危険性高める=ロシア外務

ビジネス

英公的部門純借り入れ、10月は174億ポンド 予想

ワールド

印財閥アダニ、会長ら起訴で新たな危機 モディ政権に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 10
    70代は「老いと闘う時期」、80代は「老いを受け入れ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中