「海運の脱炭素化」を牽引...今治造船、瀬戸内海で進化する「持続可能な輸送」
国内製造へのこだわりと瀬戸内海の利点
今治造船が2023年に建造したのは、全長約400メートルに及ぶ世界最大級のコンテナ船だ。この船は2万4000個のコンテナを一度に運搬可能で、輸送効率を大幅に向上させた。さらに、空気や水の抵抗を減らす特殊な塗料や設計を採用することで、低燃費を実現している。
また、同社は環境負荷の少ない液化天然ガス(LNG)、メタノール、アンモニアなどの代替燃料を使用する船の開発を強化している。従来型の船舶より燃費が30〜40%向上した「エコシップ」の建造や、他社と協力した電気運搬船の開発も進行中だ。
船舶の建造において、今治造船株式会社は一貫して国内製造にこだわりを持つ。特に、瀬戸内海という地理的優位性を生かし、生産性や品質の向上だけでなく、製造時における輸送面でのCO2排出量削減にも寄与している。
同社は、脱炭素社会を実現するため、国内外の企業や関係省庁と連携し、温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション船」の開発をはじめ、その運航、燃料供給体制の整備まで一体的に進めるプロジェクトを推進している。
国際海事機関(IMO)が掲げる「2050年までに国際海運の温室効果ガス排出を実質ゼロにする」という目標に向け、今治造船株式会社をはじめとする日本の造船業界は、革新と技術力を帆に受け、持続可能な未来への新たな航路を切り開こうとしている。
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