使われなくなった製品を回収・修理し、次の使い手へ...土屋鞄製造所が体現する「つくる責任、つかう責任」
土屋鞄製造所の修理職人の手で、引き取った製品が修理(手縫製)される
<まだ使える状態だが、何らかの理由で使わなくなり現在は押入れにしまったまま......という製品が、多くの家庭に眠っているのではないだろうか。土屋鞄製造所は、そうした自社製品を再生し、有効活用する取り組みを行っている>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
使われなくなった自社製品を引き取り、次の使い手へ繋ぐ
「時を超えて愛される価値をつくる」をミッションに掲げ、子どもから大人まで幅広い世代の皮革製品の企画・製造・販売・修理まで一貫して行ってきた土屋鞄製造所。
これまでにも「ジェンダーレスなデザインのランドセル」や「在学中・6年使用後のランドセルの修理やリメイク加工」「基本的に断らない修理、補修」などSDGsにつながるさまざまな取り組みを実践してきた同社が近年力を入れているのが「TSUCHIYA REUSE(ツチヤリユース)」だ。
「TSUCHIYA REUSE」は、大人向けのブランド「TSUCHIYA KABAN」において、年に2回、手直しすれば使えるが、何らかの理由で現在は使われていない土屋鞄製の鞄や小物を引き取るキャンペーン。引き取った製品は修理やメンテナンス、クリーニングなどを行い、「REUSE品」として年に数回、直営店で販売される。
「『TSUCHIYA KABAN』の製品は長く使われることが前提ですが、何らかのきっかけでライフスタイルが変わることもあります。そうした節目に、まだまだ使える鞄や小物を引き取り、自分たちの手直しで再度販売できる状態にし、店舗に並べることで世に送り出した製品に寄り添い続けることができると考えています」と、「TSUCHIYA REUSE」の引き取りや修理を担当するCRAFTCRAFTS部の笹田知裕氏は話す。