最新記事
SDGsパートナー

脱炭素に向けた「東北初」の試みとは? ごみ収集車のCO2排出量削減を目指す、宮城衛生環境公社の本気度

2024年10月30日(水)16時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
「サステオ」を使用したごみ収集車

次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用した宮城衛生環境公社のごみ収集車

<環境分野において「先進的、独自的でかつ業界をリードする」企業が認定される「エコ・ファースト企業」。株式会社宮城衛生環境公社は、北海道・東北エリアで初となる認定を受けた企業だ。脱炭素経営を掲げる同社が特に注力している、ごみ収集車のCO2排出量削減の取り組みとは>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


ごみ収集車の温室効果ガス排出削減を目指して

株式会社宮城衛生環境公社は、ごみ収集や産業廃棄物の処分、貯水槽や排水管の清掃などの事業を行う仙台市の企業だ。使用済みの製品や不用品を扱う、いわゆる「静脈産業」企業である同社は、成長戦略として「脱炭素経営」を掲げ、脱炭素化に向けたさまざまな取り組みを展開している。

その意図について、代表取締役の砂金英輝氏は「SDGsや地球温暖化問題は政府や大企業だけの問題ではなく、社会の一員として全ての企業ができることを行うことが大切だと思っています。当社はSDGsアクション、脱炭素経営に取り組むことで、静脈産業への偏見を払拭し、業界全体の印象の改善を図り、それがひいては社員の社会的地位の向上につながるとともに明るい未来へ寄与するものになると信じています」と話す。

宮城衛生環境公社の本社社屋

豊かな自然に囲まれた宮城衛生環境公社の本社社屋

同社が特に力を入れている取り組みの一つが、ごみ収集車を含む車両から排出される温室効果ガスの削減だ。ごみ収集車などの特装車は、あらゆる装備を搭載しているため非常に重量がある。そこにごみを積んでいくため、軽油やガソリンといった化石燃料を大量に消費することになり、結果として多量の温室効果ガスを排出してしまう。

そこで、同社では2020年から全てのごみ収集車にごみ集積所の位置等が入力されたタブレット端末を導入。収集ルートを最適化することで消費燃料の低減を図っている。この取り組みによって、経験や勘に頼らないルート計画や人員配置が可能になったことで業務が改善され、残業時間の抑制にもつながっているという。

軽油に代わる持続可能な燃料「サステオ」

同社は22年にSBT(中小企業版、*)の認証を取得した。このとき、社内の温室効果ガス排出量はごみ収集車からのものが圧倒的に多いことが可視化されたことで、さらなる取り組みの必要性が明らかになり、近年ではEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)への転換の検討も始めている。

*SBT:Science Based Targets(科学に基づく目標)の略称で、パリ協定が求める水準で企業が設定する中長期的な温室効果ガスの削減目標。宮城衛生環境公社は、2030年までに基準年(2018年)からマイナス30%を目標に掲げている

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中