「月経不調」に悩む800万人の働き手を支えるために...あすか製薬ホールディングスの挑戦
「女性のための健康ラボMint⁺」展示会出展の様子
<月経にまつわる体調不良に悩む女性は国内で約800万人。年間5672億円もの経済損失があるとされる。あすか製薬ホールディングスは、製薬会社の枠組みを飛び出した活動でこの問題に挑んでいる>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
月経不調がもたらす社会的な課題
女性の社会進出が進む一方で、月経にまつわる体調不良に悩む女性もまた増えている。子宮筋腫、子宮内膜症、月経困難症などの患者数は、近年増加傾向で、その背景には晩婚化・晩産化と少子化、それに伴う月経回数の増加がある。
月経にまつわる不調でパフォーマンスを発揮できない女性は、国内だけでも約800万人。その経済的損失は、実に年間5672億円と算出されている。この社会的課題に対して、創業から100年以上にわたって女性医療に貢献してきた「あすか製薬ホールディングス」が切り込んだ。
あすか製薬ホールディングスは、内科・産婦人科・泌尿器科に特化した医療用医薬品を提供する製薬会社だ。1920年にホルモン製剤の研究・開発を開始した同社は、女性特有の疾患に関する医療に長年携わってきた。
とくに産婦人科領域では、月経困難症治療剤、子宮収縮抑制剤、不妊症治療剤など、さまざまな薬剤を開発してきた。
しかし、同社の活動は「製薬」だけにとどまらない。
女性の身体の悩みが女性同士であっても話しづらいこと、正しい情報を見つけられずにひとりで抱えられがちであることに着目。創立100周年を迎えた2020年に、Webサイト「女性のための健康ラボMint⁺」をオープンした。
サイトでは、月経のしくみや妊娠の基礎知識、女性特有のがんについてなど、ライフステージ別に「健康に関する正確な情報」を発信しており、検査や通院のきっかけや気づきとなることを目指している。