悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替えて行こう!と、説いたアランの「幸福論」【3分だけ哲学】
アランの『幸福論』は、感情や情念に振り回されないようにする様々な方法を紹介しています。雨が降ると誰だっていやな気分になります。でも、アランは「幸福になる方法」に悪い天気をうまく利用するアドバイスをしています。アランが『幸福論』を執筆中にちょうど雨が降っていました。そこでこう考えたそうです。「雨が降ると、瓦に雨の音がして、無数の雨どいから音が聞こえる」。
こういう美しさをわかることが大切だそうです。天気の悪い時こそ、良い顔をしましょうというポジティブな思考法です。
人は元来、不機嫌になるようにできている
私たちは放っておくと、不機嫌になってしまうようにできているので、いつも気分を上げていなければいけません。そんなことを続けるのは疲れる、と感じる人も多いでしょう。しかし、アランによると、幸福になるには幸福になろうとする努力をしなければならないのだそうです。
アランが言うには、みんな幸福になりたいのに、その達成に向けて積極的に動こうとしません。「不幸だったり不満だったりするのは、むずかしくない。人が楽しませてくれるのを待っている王子様のように座っていればよい」(『幸福論』)。
では、どうやって幸せな気分にもっていけばいいのでしょう。アランが強調するには、不機嫌さの原因は、身体の変調に由来していることが多いというのです。
これは、デカルトの『情念論』に由来します。デカルトは物心二元論を唱えた後、二元論を克服しようとして『情念論』を著しました。デカルトは、体の中の動物精気が血中を通じて脳に到達することで情念が表れると考えました。