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老化は生まれる前から始まっていた...「スーパーエイジャー」の3つの「長寿の秘密」とは?

2025年2月26日(水)11時40分
ニール・バルジライ (アルバート・アインシュタイン医科大学教授)

ヒトによる別の実験でも、低体重で生まれた赤ん坊は、平均的体重の赤ん坊とは違う後成的メチル化パターンを持つことがわかっている。

これらの研究により、老化のなかには、子宮内の状態に原因があり、一生続いていくものがあることが示された。つまりCD(またはレコード)にできた傷は、生まれるまえから老化のプロセスを開始するということだ。


 

スーパーエイジャーの最高の秘密

わたしたちはこれまでに、スーパーエイジャーに共通する3つのおもな特徴を発見した。すべてのスーパーエイジャーが3つとも持っているわけではないが、この3つの現象が老化の遅れに大きく影響している。つまり、わたしたちに希望を与えてくれるものだ。


1 善玉コレステロール値が高い

高比重リポタンパク(HDL)コレステロールは心臓発作や認知症を予防する。
  
2 成長ホルモンIGF‒1値が非常に低い

このタンパク質は肝臓で作られ、組織の成長を助ける。IGF‒1が少なくなると、それまで成長に使われていたエネルギーが、もっと生き延びるために使われるようになる。
  
3 いくつかのMDP(*)値が非常に高い

このタンパク質はミトコンドリア内にあり、さまざまな種類がある。そのうちのいくつかはスーパーエイジャーにのみ見られ、老化のストレスに対する回復力をもたらす。

(*)マクロファージおよび樹状細胞への分化能を示す前駆細胞

このスーパーエイジャーの研究によってすばらしい手がかりが得られたが、並はずれた長寿については今後何年、何十年と追跡していく必要があることも明らかになった。

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