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週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパーエイジャーが実践する「長寿体質」の習慣

2025年2月14日(金)10時25分
ニール・バルジライ (アルバート・アインシュタイン医科大学教授)

アメリカ国立衛生研究所(NIH)が出資した研究でも、高齢の女性(平均72歳)で、1日約4400歩歩く人の死亡率は、約2700歩歩く人より非常に低いという結果が出た。そして4400歩以上歩く人の死亡率はさらに下がり、7500歩前後で横ばいになった。

1日1万歩が健康でいるための魔法の数字だという通説があるが、それを裏づける科学的証拠はあまりないと言わざるをえない。たとえ若者や中年の人にとっては正しい数字だとわかったとしても、1万歩では多すぎる高齢者がいるかもしれない。


 

ところで、1マイル(約1.6キロ)を何歩で歩けるかはその人の歩幅により、その長さは年齢とともに減っていく。

でも計算のために、歩幅が60センチより少し長ければ、2000歩余りで1マイル歩けるだろう。もし毎日欠かさず運動しているなら、あと1マイル歩くようにするだけで寿命と健康寿命を延ばすことができる。

運動の興味深い点は、理論的には、体に悪いということだ。運動は酸化ストレスを誘導し、酸化ストレスは老化や病気につながりやすく、筋肉組織の破壊を増やすし炎症も起こす。それでも、運動は何歳になっても体に良い。いったい、どうなっているのだろう?


ニール・バルジライ (Nir Barzilai)
1955年生まれ。アルバート・アインシュタイン医科大学教授。同大学老化研究所設立者。ポール・F・グレン老化生物学研究センター、およびアメリカ国立衛生研究所(NIH)ネイサン・ショック・センター加齢基礎生物学部門のディレクターも務めている。専門は内分泌学。100歳を超える長寿家系を調べ、ヒトの長寿遺伝子を世界で初めて発見した。長寿研究の世界的権威として、全米老年問題研究連盟(AFAR)「アーヴィング・S・ライト賞」など数々の賞を受賞している。本書が初の一般書となる。


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