最新記事
心理学

韓国人は7割が「完璧主義者」!? 競争社会で「成果を上げる人」と「ストレスで潰れる人」の違い

2024年6月17日(月)18時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

ところが、彼らはそれでも完璧主義をやめられない。それだけが人から認められ愛されるための唯一の道だと考えているからだ。

これについてアメリカの社会学者ブレネー・ブラウンは、「完璧主義は、私たちが引きずって歩く20トンの鎧だ。私たちは完璧主義が自分の身を守ってくれると信じているが、実のところそれは私たちの自由を奪うものである」と言っている。

だが私は、完璧を追求することに問題があるとは思わない。鎧を脱ぎ捨てる勇気さえ持てば、不適応的完璧主義者も十分に人生の喜びを味わい、人から認められ愛されると思うからだ。

もちろん鎧を脱ぎ捨てるのは簡単なことではない。なぜなら彼らは認められ愛されるために走り続けてきただけなのに、周りに人が集まるどころか1人2人と離れていく理由がわからなくて鎧を脱ぎ捨てたら「出来損ない」の烙印を押されそうだとおびえているからだ。

だとしても、これからはありのままに現実を認めるべきだ。自らを追いこみ責め立てていたら、四六時中何かにせかされるようにして働くことになる。それではすっかり疲れ果て、ミスする確率が上がり、あれほど望んだ完璧さからも遠ざかってしまう。

それに、いつ見ても気が立っているような人間を歓迎する人は誰もいない。

だからもう重い鎧は脱ぎ捨てよう。鎧を脱いで体が軽くなれば、あなたは自由にどこへでも行けて、もっと幸せになれる。

これについてハーバード大学心理学部教授タル・ベン・シャハー著『最善主義が道を拓く――ポジティブ心理学が明かす折れない生き方』(田村源二訳、幸福の科学出版)の韓国語版書籍紹介文には次のようなことが記されている。

「私たちは成功者たちの情熱やたゆまぬ努力に感銘を受け、少しばかり気を抜いたりベストを尽くさなかったりしたという理由で自らにムチを打つ。しかしここで問題なのは、『完璧な人生』など存在せず、完璧主義者たちから見れば満足のいく成果など決してないということだ。

社会的に認められるほどの大きな業績や莫大な富を築いても、さらなる目標に向けて際限なく走り続ける完璧主義者にとって、幸せな人生とは絶対にたどり着けない蜃気楼のようなものである。だから『完璧主義者』ではなく『最善主義者』を目指していこう。

なお、ここでいう『最善』とはベストを尽くさないという意味ではない。可能な範囲で最善を尽くす『ポジティブな完璧主義』ということだ。

『完璧な成功』や『完璧な人生』など存在しないことを受け入れて、人生が一直線の高速道路ではなく、折れ曲がった道であることを理解できるようになれば、私たちは目標指向的な生活を送りながら、今よりはるかに幸せな生活を送れるようになる」

『「大人」を解放する30歳からの心理学』
「大人」を解放する30歳からの心理学
 キム・ヘナム 著
 渡辺麻土香 訳
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中