韓国人は7割が「完璧主義者」!? 競争社会で「成果を上げる人」と「ストレスで潰れる人」の違い
たしかに、完璧さの追求は前へ進むための強い原動力になる。人類が現在のような輝かしい発展を遂げられたのは、幾多の成功者たちが完璧を追求してきたおかげだ。だから、完璧を追求すること自体に問題はない。
とはいえ、それも行き過ぎれば自分をすり減らすだけだ。ユタ州立大学の心理学部教授マイケル・トゥーヒグと心理学者クラリッサ・オンは、『不安な完璧主義者のための本』(未邦訳)で完璧主義を適応的完璧主義と不適応的完璧主義に分けた。
適応的完璧主義者は、達成感と高い生産性を追求することで報酬と満足感を得ている人たちだ。彼らはあまり失敗を恐れない。あらゆることにチャレンジしていれば、ミスや失敗はあって当然と考えているからだ。
ただし、彼らは失敗から得た教訓をきちんと糧にして前へ進む。また、非常に現実的な基準を持っているため、目の前の成果をしっかりと喜ぶことができる。
一方、不適応的完璧主義者は目標達成のために四六時中気を張って自らを追い立てるとともに、絶えず自分の力を証明し他者から認められようと頑張ってしまうため、不安や心配、憂うつに加えてストレスに押しつぶされる。
彼らは常に「到達するべき完璧な状態」に届かない自分にストレスを感じているのだ。また、簡単なメールでさえ何回も確認しないと安心して送れないため、いつでも時間に追われている。
さらには現状に満足していないため、決して自分に休むことを許さない。そのため人づき合いが少なく、余暇を楽しむこともできない。与えられた課題を完璧にこなすことばかり考えて平凡な日常を逃してしまうのだ。
彼らはもっと完璧にできれば、もっと成果を挙げさえすれば、すべてが報われると信じ自らにムチを打つ。ところがどんなに努力をしても、そんな瞬間は決して訪れない。
彼らが「到達するべき完璧な状態」と規定しているもの自体が、そもそも達成不可能な目標だからだ。
ヨンジェさんは一度として自分に満足したことがなかった。いつだって何かが足りないような気がしていた。だから、ほんの小さなミスをしただけで、なんて使えない人間なんだと自らを責めた。
彼は先日、ずっと注力してきたプロジェクトで大きな成果を収めた。特別休暇と報奨金まで手に入れ、同僚たちからも祝われた。だがその喜びも一瞬で、翌日せっかくもらった休暇を利用し少し遅い時間に目覚めた彼は、どんよりとふさぎこんでしまった。昨日の成功がしがなく思え、その程度のことで得意になって遅くまで寝ていた自分が情けなくなったのだ。
こうして事あるごとに自分を追い詰める不適応的完璧主義者は、何事も1人でうまくこなせそうに見えるが、実はそんなこともない。彼らは失敗を恐れて、小さなこともなかなか行動に移せない。
もっと正確に言うならば、「失敗そのもの」よりも「失敗した自分に対する周囲の目」におびえて、延々と仕事を先送りしてしまうのだ。そのため立派な計画を立てたはいいが実行できないとか、決められた期限が過ぎても仕事を手放せないということが多々発生するのである。