最新記事
心理学

韓国人は7割が「完璧主義者」!? 競争社会で「成果を上げる人」と「ストレスで潰れる人」の違い

2024年6月17日(月)18時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

たしかに、完璧さの追求は前へ進むための強い原動力になる。人類が現在のような輝かしい発展を遂げられたのは、幾多の成功者たちが完璧を追求してきたおかげだ。だから、完璧を追求すること自体に問題はない。

とはいえ、それも行き過ぎれば自分をすり減らすだけだ。ユタ州立大学の心理学部教授マイケル・トゥーヒグと心理学者クラリッサ・オンは、『不安な完璧主義者のための本』(未邦訳)で完璧主義を適応的完璧主義不適応的完璧主義に分けた。

適応的完璧主義者は、達成感と高い生産性を追求することで報酬と満足感を得ている人たちだ。彼らはあまり失敗を恐れない。あらゆることにチャレンジしていれば、ミスや失敗はあって当然と考えているからだ。

ただし、彼らは失敗から得た教訓をきちんと糧にして前へ進む。また、非常に現実的な基準を持っているため、目の前の成果をしっかりと喜ぶことができる。

一方、不適応的完璧主義者は目標達成のために四六時中気を張って自らを追い立てるとともに、絶えず自分の力を証明し他者から認められようと頑張ってしまうため、不安や心配、憂うつに加えてストレスに押しつぶされる。

彼らは常に「到達するべき完璧な状態」に届かない自分にストレスを感じているのだ。また、簡単なメールでさえ何回も確認しないと安心して送れないため、いつでも時間に追われている。

さらには現状に満足していないため、決して自分に休むことを許さない。そのため人づき合いが少なく、余暇を楽しむこともできない。与えられた課題を完璧にこなすことばかり考えて平凡な日常を逃してしまうのだ。

彼らはもっと完璧にできれば、もっと成果を挙げさえすれば、すべてが報われると信じ自らにムチを打つ。ところがどんなに努力をしても、そんな瞬間は決して訪れない。

彼らが「到達するべき完璧な状態」と規定しているもの自体が、そもそも達成不可能な目標だからだ。

ヨンジェさんは一度として自分に満足したことがなかった。いつだって何かが足りないような気がしていた。だから、ほんの小さなミスをしただけで、なんて使えない人間なんだと自らを責めた。

彼は先日、ずっと注力してきたプロジェクトで大きな成果を収めた。特別休暇と報奨金まで手に入れ、同僚たちからも祝われた。だがその喜びも一瞬で、翌日せっかくもらった休暇を利用し少し遅い時間に目覚めた彼は、どんよりとふさぎこんでしまった。昨日の成功がしがなく思え、その程度のことで得意になって遅くまで寝ていた自分が情けなくなったのだ。

こうして事あるごとに自分を追い詰める不適応的完璧主義者は、何事も1人でうまくこなせそうに見えるが、実はそんなこともない。彼らは失敗を恐れて、小さなこともなかなか行動に移せない。

もっと正確に言うならば、「失敗そのもの」よりも「失敗した自分に対する周囲の目」におびえて、延々と仕事を先送りしてしまうのだ。そのため立派な計画を立てたはいいが実行できないとか、決められた期限が過ぎても仕事を手放せないということが多々発生するのである。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ和平案、西側首脳が修正要求 トランプ氏は

ワールド

COP30が閉幕、災害対策資金3倍に 脱化石燃料に

ワールド

G20首脳会議が開幕、米国抜きで首脳宣言採択 トラ

ワールド

アングル:富の世襲続くイタリア、低い相続税が「特権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 7
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 8
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中