最新記事
リーダー論

坂東眞理子が語る、宮沢賢治「雨にも負けず」に学ぶこれからのリーダーに必要なこと

2024年6月7日(金)17時43分
坂東眞理子(昭和女子大学総長)*PRESIDENT Onlineからの転載
坂東眞理子が語る、宮沢賢治「雨にも負けず」に学ぶ自分を励ます一番いい方法

Farknot Architect - shutterstock

<いつまでも歳を重ねても生涯現役でいたい...自分に生きる力を与え、励ますために一番いい方法>

いま求められるリーダーには何が必要か。

昭和女子大学総長の坂東眞理子さんは「これからのリーダーは、大きな課題や目標を他人事だと思わず仲間とshareする、お互いに力を出し合い補い合って取り組む(support)、そして何よりも困っている人、苦しんでいる人に共感する(sympathy)の3つのSが必要だ。

この3つとも、困っている人、苦しんでいる人への共感が背景にあり、それがエネルギーの源になる」という――。

※本稿は、坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

【人は他人の不幸に接すると心を痛める】

「感謝する心」の基本は、他人の境遇や気持ちを推しはかる力です。

つまり「共感力」です。これは利他心を育む基礎中の基礎です。

性善説や性悪説など、人間性というものに対してはさまざまな見方がありますが、サイコパシーのような病的な性格でない限り、人は他人の不幸に接すると心を痛めます。

ロシアの侵略に苦しむウクライナの人々、イスラエル軍との衝突で犠牲が増えるばかりのパレスチナ・ガザ地区の人々、地震に被災した人々、飢餓に苦しむアフリカの子どもたちの映像などを見ると、ほとんどの人が「つらいだろうな」「悲しいだろうな」と感じるはずです。

身近な例でも、若くして配偶者を亡くした人、子どもの犯罪に苦しむ親、貧しくて学校に通えない子どもたちなどを見ると、気の毒に思うのが普通です。これが「共感力」。多くの人々は、多かれ少なかれ苦しみや悲しみのなかにいる人への共感力を持っています。

苦しみや悲しみばかりではありません。他人の幸せや成功をわがことのようによろこぶのは、一般的には難しいことですが、それが自分の子どもや配偶者なら、自分のことのようにうれしく感じるはずです。

いえ、わが子の成功は自分のこと以上にうれしいという人もいます。スポーツチームの監督やコーチ、塾の教師なども、教え子たちの活躍や成功をわがことのようによろこびます。また「推し活」のように、ファンとしてアーティストやスポーツ選手の活躍をよろこぶ人もいます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中