ADHD家族を支えるための4つの秘訣
Being an ADHD Whisperer
1. ひたすら「つながる」
コレクト(矯正する)なんて考えずに、コネクト(つながる)に徹しよう。身近にいるADHDの人を支えるには、これが一番だ。この点、妻のキムは最高だ。病気のせいで私が途方に暮れているときも、彼女は私の思いに優しく寄り添ってくれる。
私が締め切りに追われて混乱していても、寄りかかりすぎて椅子ごと後ろへ倒れてしまっても、キムは絶対に「スケジュールをちゃんと管理して」とか「背筋を伸ばして座って」とか言わない。ただ「わっ、最悪!」で済ましてくれる。そうやって最悪感を共有してくれるから、私の緊張や羞恥心は消えていく。それが「つながり」のパワーだ。
ここで注意点が1つ。彼女は私の気持ちとつながるだけで、私と一緒にうろたえたりはしない。私の代わりに責任を引き受けるわけでもない。問題を解決するのは、あくまでも私自身。それでも妻がいて、彼女が怒りもせずに気持ちを共有してくれるだけで、私はずっと楽になる。
精神科医エドワード・ハロウェルの名著『へんてこな贈り物──誤解されやすいあなたに』にも、「ADHDの治療では人とのつながりが唯一にして最も強力な癒やしになる」と書いてある。
それだけじゃない。人とつながるのにお金は要らない。資格も技術も要らない。誰にだってできる。最悪な状況でも、コレクトではなくコネクトに徹する。そうすれば世界はずっと生きやすくなる。
2. 相手の気持ちに共感する
誰かとつながるには、まず共感が必要だ。ある介護施設では、従業員に特殊なスーツを着させて高齢者の苦労を体験させている。動きにくいスーツを着て歩いてみた従業員は、加齢の影響を文字どおり肌で感じ取り、高齢者への対応がずっとよくなるという。素晴らしいじゃないか。
ADHD患者との生活をイメージするには、それを疑似体験してみるのが一番だ。試しに、次のシナリオにトライしてみよう。
●菜食オンリーでナッツやグルテン、卵にアレルギーのあるゲスト4人分の献立を頭で考えつつ、初めて訪れた家で乱痴気パーティーの後片付けをする即興芝居を演じる。使用済み紙コップを集めて床の掃除をし、酔いつぶれたゲストの世話をするのも忘れずに。
●バーベキュー用のグリルを組み立てつつ、野球をやったことのない人に野球のルールを説明する。
●長めのポッドキャストにテレビ番組、そしてオーディオブックを同時に再生して、全ての話を理解しようとする。
いかがだろう? ADHDの人はいつも、そんな感じで生きている。頭の中は大忙しで、それでも精いっぱい頑張っている。だから、怒ったりあきれたりしないでほしい。