最新記事
ADHD

ADHD家族を支えるための4つの秘訣

Being an ADHD Whisperer

2024年5月20日(月)12時50分
ペン&キム・ホルダネス(ポッドキャスト司会者)

newsweekjp_20240517030051.jpg

ペンはピアノを弾くと落ち着くという COURTESY OF HOLDERNESS FAMILY PRODUCTIONS

3. 気持ちを楽に

キムとけんかするのは最悪だ。彼女のイライラを感じると私の脳は過敏になり、こちらもイラつく。そうなると家庭の雰囲気は悪くなり、私のADHDの症状もひどくなる。

私がADHDゆえの失敗をして、キムが(めったにないことだが)怒り出したりすると、私はうろたえ、一段と症状が悪化する。否定的なフィードバックは否定的な感情につながる。逆に、キムが私に過大な期待をせずリラックスしていれば、私も楽になり、ちゃんと期待に応えられる。

家族の誰もが私の要求に即座に、完璧に応えてくれたら最高だろう。でも家族は家族、高級ホテルの専属バトラーとは違う。ADHDの人がいる家庭で生じがちな緊張を和らげるには「やりすごす」のが一番だ。小さなことは気にしない。実際、キムは「やりすごし」の達人だ。

例えば、私がキッチンのカウンターにジムバッグを置きっ放しにしたとする。整頓好きのキムは不満なはずだが、私に食ってかかったりはしない。代わりに黙って私のバッグを部屋の隅に押しやる。そうすればカウンターが片付くから、キムは取りあえず満足する。あとは私が落ち着きを取り戻すのを待てばいい。

大事なのは、常にポジティブなメッセージを送ること。誰かに褒めてもらうと、私の気分は落ち着く。非難ではなく称賛。それを心がければ家庭生活はうまくいく。

4. 注文は具体的に

あなたの要求にADHDの人がきちんと応える可能性を高めるには、明るい口調で明確かつ具体的な指示を出すのが一番だ。

簡単そうに聞こえるが、実はこれが難しい。たいていの人は、自分が何かを求めれば答えが返ってくるのは当然と信じ切っているからだ。

でもADHD脳の人にとっては、漠然とした注文(これを片付けろ、あれはあなたの責任だ、今度は君の番だぞ、など)を聞いて、具体的な行動に移すのは難しい。ADHD患者には、明確な言葉による具体的な指示が必要だ。

児童の問題行動を専門とするスティーブン・カーツ博士の言を借りるなら、息子の野球道具が床に散らばっているのを見つけても、頭ごなしに「片付けなさいと何度言ったら分かるんだ!」と怒鳴ってはいけない。一呼吸おいて「散らかってるなあ。ほら、スパイクはベランダに置いてきて」と言い、それが済んだら「よく片付いたね。次は水筒を洗って」と、指示を小出しにするのがいい。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イラン核施設への限定的攻撃をなお検討=

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 7
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 8
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 9
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 10
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中