最新記事
バイオハック

ほぼ寝たきりだった私が10歳若返ったスゴい健康法...テクノロジーと自然の力を利用する「バイオハック」とは?

I Reversed My Age by a Decade

2023年7月7日(金)12時40分
ティム・グレイ(イギリスの有力バイオハッカー、健康最適化サミット創設者)
バイオハック効果で生物学的年齢は33歳だという44歳のグレイ

バイオハック効果で生物学的年齢は33歳だという44歳のグレイ TIM GRAY

<不摂生と慢性疾患でボロボロになった心と体を、「バイオハック」により最適化するまで>

20代の頃は毎日同じ生活だった。起きてシャワーを浴び、コーヒーを2、3杯飲んで車で出勤し、昼食は抜き、水は飲まず、帰って夕飯を食べて寝る。その繰り返しだった。

土曜はかならず泥酔するまで酒を飲んだ。よく眠れないので、体は日中に受けたダメージを修復できなかった。

やがて体が音を上げた。免疫力が異常に低下して前立腺と腎臓に炎症が起き、過敏性腸症候群と診断された。疲労と尿路感染症と膨満感と不眠に悩み、頭はモヤがかかったようにぼんやりした。

体が正常に機能しなくなり、慢性疾患でほぼ寝たきりになった。だが傘も持てないほど体力が落ちた私に、医者は「異常は見られません」と言う。そこで悟った。医者が頼りにならないなら自分でどうにかするしかない、と。

「バイオハック」とは本来、体の内外の環境を最適化して健康をコントロールするライフスタイルを指すが、私の捉え方はもっとシンプル。テクノロジーやサプリメントを使い、祖先の暮らしを参考にして心身の健康とパフォーマンスを最適化するのだ。

【動画】ティム・グレイが伝授する11の「バイオハック」

興味を抱いたのは、バイオハックの父と呼ばれる起業家デーブ・アスプレイが考案した高脂肪の「完全無欠コーヒー」を知ったのがきっかけだった。私は彼が提唱する「完全無欠ダイエット」について調べ、ポッドキャストを聞いた。一方、慢性疾患を治そうと健康法をいろいろ試した。

祖先の生活に立ち返る

最初は日光浴から始めた。ビタミンDの値が異様に低いのは自宅の照明がLEDで、太陽の光が足りていないせいだと推測したのだ。

睡眠を重視し、疲れを瘉やすノンレム睡眠を計測した。水分補給にもこだわった。合成ホルモンや抗生物質や添加物が混じらず、ミネラルが豊富なろ過水を飲んだ。イギリスの水道水にはそうした残留物が含まれることがあると、一部の研究者は言う。

食事の向き不向きは人それぞれで、私の場合、ビーガンは合わなかった。完全菜食では得られないビタミンを、遺伝子が欲したのだ。

一般に、加工食品は全て避けるのが賢明だろう。有機野菜、牧草だけで育てた牛、天然の魚、蜂蜜を食べていれば間違いない。複数の食材を工業的に配合した「超加工食品」が体に悪いという研究結果は、続々と出ている。

こうした長寿の秘訣を実践するうちに、体は回復した。体温を1日3回測り基礎代謝を調べると、2カ月で体温がぐんと上がり、体力も付いた。

試写会
米アカデミー賞候補作『教皇選挙』一般試写会 30組60名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中