最新記事
ヘルス

血糖値が正常な人は12%だけ。「砂糖よりハチミツが健康」と思っている人が知るべき糖との付き合い方

2022年11月9日(水)20時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
砂糖、ハチミツ

sasimoto-iStock.

<血糖値に関する科学が発展し、これまでわからなかったことが可視化されるようになった。誤った情報がはびこっているが、生きるために砂糖を食べる必要はないし、どんな砂糖も結局、グルコースと果糖だ>

毎年の健康診断。血糖値が気になるという人は少なくないだろう。血糖値とは血液中のグルコース(ブドウ糖)の量のことで、数値が高いと糖尿病になったりするおそれがある。

心配しているのは、あなただけでも、日本人だけでもない。アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアなど各国でベストセラーとなっている書籍『人生が変わる 血糖値コントロール大全』(かんき出版、原書はGlucose Revolution)によると、血糖値が正常で、きちんと機能する体をもっているアメリカ人は、たった12%だという。

食習慣の違いなどもあるだろうが、世界中どこでも代謝機能と血糖値が悪化しているのは確かなようだ。

「血糖値スパイク」と呼ばれる急激な血糖値の上昇は、あらゆる病気の原因になるとされている。

だがこの血糖値スパイクを防ぐには、日々の食習慣を整えることも重要だが、何をどんなふうに食べるか、それを実行するとどんな変化があるかを可視化することはこれまでできなかった。

『血糖値コントロール大全』の著者である生化学者のジェシー・インチャウスペは、持続血糖測定器を24時間着用し、血糖値スパイクが起こる様子をグラフ化。これまで変動がわかりづらかった血糖値の世界を可視化することに成功し、好きなものを食べながら血糖値を最適にするテクニックを同書にまとめた。

『血糖値コントロール大全』から一部を抜粋・再編集し、2回に分け掲載する(この記事は第1回)。

※第2回はこちら: 食後70分以内に散歩、筋トレ、階段の上り下り。血糖値スパイクは「食べたら動く」で防げる

◇ ◇ ◇

ハチミツと砂糖は同じ糖である

『ロミオとジュリエット』の有名なセリフをご存じだろうか? 「バラはほかの名前で呼ばれても同じように甘く香るでしょう」。そう、糖についても同じことが言える。糖はほかの名前で呼ばれても、体に同じ影響を及ぼす。

食品が体に及ぼす影響を知るのに重要なのは、カロリーではなく分子だ。カロリーのほかにも、重要ではないものがある。食品の名前だ。

これに驚く人が多いのだが、分子レベルでは砂糖とハチミツにはなんの違いもない。また、砂糖とアガベシロップにも違いはない。それどころか、砂糖と次のどの糖にも違いはない。アガベシロップ、ブラウンシュガー、グラニュー糖、ココナツシュガー、粉砂糖、デメララシュガー(精製を抑えた甘ショ糖)。これらはみな、グルコース分子と果糖分子でできている。パッケージや、名前、値段が違うだけだ。

ハチミツはもともと植物の花の蜜だが、砂糖と同じくグルコースと果糖を含んでいる。ブラウンシュガー(いかにもヘルシーに聞こえるのでは?)は、白砂糖とまったく同じものからつくられる。ただ精糖工程の副産物である糖蜜で色づけし、体によさそうに見せているだけである。

マスコバドシュガーがブラウンシュガーより色が濃いのは、含まれている糖蜜の量が多いからだ。グラニュー糖と粉砂糖は、砂糖を挽いて細かくしたもの。デメララシュガー、タービナドシュガー、甘ショ糖が黄金色なのは、精製過程であまり漂白しないから。ココナツシュガーはサトウキビやビートのかわりに、ココナツからつくる砂糖。パームシュガー(およびパルミラパームシュガー)は、ヤシの木からつくる砂糖。例をあげればきりがない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中