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小池都知事は「震災時の朝鮮人虐殺」を認める「メッセージを出してくれると思う」東大・外村教授

2024年8月29日(木)15時53分
大橋 希(本誌記者)

――朝鮮人の犠牲者の正確な数字は分かっていない。

内閣府が出した中央防災会議の報告書(2009年)では、朝鮮人などの犠牲者数を「震災による死者数の1~数パーセント」としている。その数字で言うと、1000~6000人だろう。

「6000人説は嘘だ」と言う人がいるが、6000人説が嘘かどうかも含めて定説がない。6000人も1つの説であるし、それは違うと指摘している研究者もいる。当時、どのようなレベルでしっかり調査したか自体の検証もできないので、結局、正確な数は分からない。


ただ、殺された人だけではなくて殺されかけた人もいて、その恐怖はものすごかっただろう。あまり指摘されていないことだが、殺すのを見た日本人の恐怖も相当大きいものがある。震災後の作文でそのことを書いている子供も結構いて、それは大変なトラウマの状況だったと思う。

――小池知事が追悼文を出していないことで、どんな影響があるのか。

大変な影響があると思う。僕は『In-Mates』上映中止事件について都とやり取りをするなかで、何度か「1923年9月の震災後にどんなことが起きたのか、ご存知ですか?」と都庁の職員に聞いているが、答えないんですよ。

もちろん知らないわけではなく、答えてはいけないことになっているのだと思う。先日も人権部の課長と話をしたときに聞いたが、答えない。「教科書に書かれていますよね?」と聞いても、この場では答えません、と。

東大有志の要請文を出しにいった時も、都の秘書課長に「23年9月にどんなことが起こったのかご存知ですか」と聞いたが、それは答えられませんと言う。日本で一番高い山は富士山です、みたいな話なのに、絶対に答えない。

東京都100年史(1972年)には、自警団がその場を去らせず殺した事例が多発した、大正東京の汚点だ、といったことが書かれている。そうした記述がちゃんとあるのに、今の都庁では朝鮮人虐殺はあったか、なかったか分からないことになっている。

少なくとも、都民にそのことを教えてはいけないことになっている。職員は明らかに違うと思っていても言わない、言えない、都民にも知らせない、そういう状況だ。

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