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パレスチナ人とイスラエル人の監督による異色の映画...アカデミー賞最有力『ノー・アザー・ランド』とは?

Watch, Be Touched, and Then?

2025年2月28日(金)18時09分
サム・アダムズ(スレート誌記者)

『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない(No Other Land)』場面写真

©2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA

情勢が緊迫するなか、共同監督のバラールはアブラハームを詰問する。パレスチナ人の家を破壊する側の者が、境界のこちら側にいるべきなのか──。衝突しそうな2人は、隣人の家にパンを取りに行くよう促される。並んで歩くアブラハームに、バラールはこう言う。「会話を続けよう」

本作は米国内で自主配給で公開され、素晴らしいことに上映館は増えている。だがこの映画が求めているのは、観客が感情を動かされる体験をした後、いつもの生活に戻ることではない。アブラハームが、問いかけるとおりだ。

「誰かが何かを見て、感動する。それで、その後は?」

アブラハームはイスラエル軍に入隊するつもりだったが、アラビア語を学ぶことにしたと、作品の冒頭で語っている。その決断が自分の政治的見解を決定的に変えた、と。

『ノー・アザー・ランド』を見るのは、外国語を学習するようなものだ。だが重要なのは、話すことだけではない。耳を傾けることだ。

©2025 The Slate Group


NO OTHER LAND
ノー・アザー・ランド 故郷は他にない
監督╱バーセル・アドラー、ユバル・アブラハーム、ハムダーン・バラール、ラヘル・ショール
日本公開中

20250304issue_cover150.png
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