性描写もお涙頂戴もない「どんでん返し製造機」、現役医師ベストセラー作家のサスペンスは面白いのか
The Twist Machine
確かにマクファデンにはフーバーのような熱狂的ファンを獲得する力量はなさそうだ。彼女の本を楽しんでいるという人たちでさえ、手放しでというわけではない場合が多い。
マンネリ化が気がかり
例えばレディットのマクファデン関連スレッドには「彼女の本は(米ケーブルテレビ局)ライフタイムの映画みたい。くだらないと思いつつ、つい楽しんじゃう」という、ほとんど言い訳に近いような書き込みが。ほかの感想も微妙なものばかりで、「盗作」呼ばわりするコメントもあった。盗作といっても他人の作品を一字一句そのまま使っているという意味ではなく、基本的な前提と意外な展開を拝借しているという意味だ。
だがこうした不満の矛先は作品そのものに向けられているわけではない。問題はむしろ、ホームスリラーというジャンルの病弊が想像力を消耗させるほど深刻になっていることだ。
ホームスリラーの場合、ヒロインを夫や家族が欺いたり裏切ったりする方法は限られている。マクファデンのスリラーにはこうした限られた常套手段の繰り返しがあふれている。そして読者は、見せかけの完璧さ──つまり昔ながらの女らしさにこだわると同時に、そんな演技を剝ぎ取って嘘だと暴きたがる。
いずれ読者が「他人の不幸は蜜の味」的な作品を読みたいと思わなくなる日が来るかもしれない。だがそれまでは、マクファデンは読者のそういう欲望に応える作品を書き続けるはずだ。

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