幼い子供には「恐ろしすぎる」かも? アニメ映画『野生の島のロズ』は「心」を見つけたロボットを描く傑作だが...
An Intelligence Beyond AI
ヒナをキラリ(キット・コナー、Kit Connor)と名付けて育て始めたロズを、ずる賢いが寂しがり屋のキツネ、チャッカリ(ペドロ・パスカル、Pedro Pascal)と自分も子育てに忙しいオポッサムのピンクシッポ(キャサリン・オハラ、Catherine O'Hara)、老いたガンのクビナガ(ビル・ナイ、Bill Nighy)がサポートする。
渡り鳥の群れに加わらなければ、キラリは死んでしまう。秋までに自力で餌を取り、泳ぎ、飛べるようにならなければならないのだ。
プログラムの指令に無条件に従ってきたロズの中で、徐々に疑問が芽生える。こうした場合は製造元に信号を送るよう自分を設計したのは誰なのか。金属のボディーの亀裂からコケが生え、花が咲くほど住み慣れた島を、どうして去らなければならないのか。
後半、ロズは新たな試練に立ち向かう。ここで駆使するのは工場製の人工知能ではなく、養子のキラリと暮らすことで発達した感情面のスキルだ(顧客にサービスを提供する以外の行動をプログラムされていない彼女にとって、「養子」や「愛」は簡単に理解できる言葉ではない)。
『野生の島のロズ』はファミリー映画の傑作だが、幼い子供には向かない。筆者の体験に照らし合わせるなら、これを楽しめるのは9歳か10歳から。それより小さいと、恐ろしさが勝ってしまうはずだ。