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台湾はトップ3、東京と香港は最重要、韓国でハイボール流行...ザ・マッカラン戦略担当者に聞く

2024年12月13日(金)19時35分
文:西田嘉孝 写真:伊達直人

新興蒸留所から「次なるザ・マッカランは生まれない」とは言えないが...

――ザ・マッカランとアートにはどのような親和性があると思いますか?

ハイメ 大麦や水、酵母といった自然の原料のみを使い、ナチュラルカラーで仕上げられるザ・マッカランを、私たちはアートそのものと考えています。ブレンダーは、シェリー樽での熟成を経た様々な原酒をブレンドし、香り高くバラエティ豊かな製品を何のトリックも使わずに生み出しています。

アーティストとコラボレーションした特別なボトルなどでは、そうして生み出されたザ・マッカランの芸術性や希少性、収集価値などが市場で評価され、時に希少なコレクションとなります。しかし、忘れないでいただきたいのは、ザ・マッカランのリリースの99パーセントは、「12年」「15年」「18年」といった定番製品。つまり、皆さんにどんどん飲んで楽しんでもらうためのウイスキーです。

ザ・マッカラン

主にヨーロピアンオークのシェリー樽で熟成されている「シェリーオークシリーズ」に対し、「ダブルカスクシリーズ」ではヨーロピアンオークとアメリカンオークの2種のシェリー樽をバランスよく使用。どちらもシェリー樽100パーセントだ

――現在、世界でも数多くのウイスキー蒸留所が誕生しています。そうした蒸留所からザ・マッカランのような特別な価値を持つウイスキーが生まれる可能性について、ハイメさんはどのようにお考えですか?

ハイメ 私個人としては、良質なシェリー樽での熟成や天然のプロセスを重視したナチュラルカラーへのこだわりなど、ザ・マッカランのような高品質なウイスキーが多くの蒸留所でつくられることを願っています。

とはいえ、たとえば自動車の世界で新興の自動車メーカーがいくらベントレーやロールス・ロイスのようになりたいと言っても、なかなかそうはなれません。自動車の性能が素晴らしいことはもちろん、名門レースで輝かしい成績を収めたり、英国の王族たちの足となったり。そうしたブランドが立ち会ってきた歴史的な瞬間は決して再現することはできません。

それと同様に、ザ・マッカランにも決して再現もコピーもできない無形の歴史や価値があります。日本や世界の新興蒸留所から、次なるザ・マッカランが生まれることがないとは言えませんが、そこに至るにはとても困難で長い道のりがあることは間違いないと思います。

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