最新記事
BOOKS

ハン・ガン、ノーベル文学賞受賞後初のエッセイ発表 記者会見を開かない理由も明かす

2024年10月16日(水)21時38分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
2024年のノーベル文学賞を受賞したハン・ガン

2024年のノーベル文学賞を受賞したハン・ガン。REUTERS/Neil Hall

<アジア女性文学者初の受賞者は「今すぐスポットライトを浴びたくはない」と語った──>

2024年のノーベル文学賞を受賞した韓国の作家、ハン・ガン(韓江)。だが、彼女は他のノーベル賞受賞者のような記者会見などを行わず、いつもと同じようにひっそりと執筆活動を続けている。そんな彼女の元をスウェーデン公共放送が訪ね、受賞後初のインタビューを行った。韓国メディアEBS、ソウル新聞、ノーカットニュース、ニューシスなどが報じた。

「この賞が何を意味するのかを考える時間が必要です」

スウェーデン公共放送が13日に放送したインタビューは、ノーベル賞受賞直後の11〜12日にハン・ガンの自宅で行われたという。ハン·ガンは「10日の夕方、自宅で息子と夕食を食べていたところ、スウェーデン・アカデミーのマッツ・マルム氏から電話をもらいました。初めはいたずら電話だと思ったが、結局本当であることに気づいてびっくりしました」と語った。

また、受賞会見を行っていないことについて、なぜ祝わないのかと聞かれると「違います。息子と一緒にお茶を飲みながら祝った。お祝いしたかったのに、なぜそう思ったのですか?」と逆に質問した。記者が「あなたの父親(作家のハン・スンウォン)が記者たちに会った席で、『娘が世界の状況(ウクライナ戦争など)のために記者会見したくない』と話した」と説明すると、ハン·ガンは「何か混乱があったようです。その日の朝、父に電話した時、父は村の人々と大きな宴会をしようとしていたのですが、私はそれが良くないと思ったので『そんな大きな宴会はしないで』と言ったんです」と説明した。

そしてハン・ガンは「今すぐスポットライトを浴びたくはないです、私は静かにしていたい。世界に多くの苦痛があり、私たちはもう少し静かにしていなければなりません」として「それが私の考えで、(それで父に)宴会を開くなと言ったのでした」と付け加えた。

またハン・ガンは、ノーベル賞を受賞しても自分の創作は変わらないと語った。彼女は「文章を早く書く方ではなく、自分のペースで書き続けたいです。現在書いている小説を書き終えたらすぐ、ノーベル賞の受賞記念講演の内容を書き始めます」と新作の完成が間近いことを明らかにした。

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中