羽生結弦がいま「能登に伝えたい」思い...被災地支援を続ける羽生が語った、3.11の記憶と震災を生きる意味

Lending a Helping Hand

2024年10月4日(金)17時11分
小暮聡子、大橋 希(本誌記者)

「能登半島復興支援チャリティー演技会」前日リハーサルの様子

チャリティー演技会の前日リハーサルから ©TORU YAGUCHI

──羽生さんは今年12月で30歳になります。40歳、50歳、60歳の自分はどんなことをしているイメージですか。

それはいま考える未来でしかないので、結局どうなるかは分からないんですけど、その時々の「今」を頑張っているんじゃないですかね。

先ほど言ったように、頑張るとか戦うというのは、どんなフィールドでも変わらないですし、たとえ仕事がないときでも、ゲームだけしている日でも、きっとめちゃくちゃ戦っている。


どんなに周りに人がいても孤独だなって思う日もあれば、その周りの人のあったかさや優しさを感じられる日もあるし、それはずっと根本的に変わらないんじゃないかなって思っています。

僕はやっていることの規模が大きいから、すごく大きな幸せも感じるし、すごく大きな悲しみも感じる。でもその幅自体はきっと、みなさんが持っているのと同じなのかなと思います。

40歳のときにスケートを滑っているのかは分かりません。60歳ではさすがに無理かもしれないけれど、それでも僕が持っている感情の幅みたいなものは変わらずに暮らしているんだろうと思います。

──今はどんな気持ちで日々過ごしていますか。幸せですか?

幸せですよ。みんなが喜んでくれるから。

──それが羽生さんにとっての幸せなのですね。

だって、日々生きるのって意外と大変じゃないですか。ご飯食べるの面倒くさいなとか......あ、これは僕に限ってかもしれないけど(笑)。

例えば、ずっと寝ていたいな、不摂生したいなって思ってもなかなかそんなことを許してくれるような社会ではない。世の中には何かしらのルールがあって、そのルールに従って生きていくしかない。みんなそのルール内で頑張っていると思うんです。

僕はスケートっていう場所で、スケートのルール内で一生懸命頑張っている。自分という一つの命で何万人もの方々に向き合わなくてはならなくて、「何万人分ものエネルギーないよー」って思うんですけど、でもそれでもなんとか努力をしている。

だから、観客全員がすごく良かったと思ってくれるわけでなくても、誰かが幸せだと思ってもらえるようなことがあったら、それだけで報われた、幸せだなって。だからたぶん今が一番幸せな自分だと思います。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、大統領選結果受け入れ拒否も バイデン氏

ワールド

イラン石油施設攻撃以外の選択肢探る、米大統領 イス

ビジネス

世界的な供給網圧力、9月は低下 港湾スト終結で改善

ビジネス

中国製EV価格、即時変更の公算小 EUの追加関税で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大谷の偉業
特集:大谷の偉業
2024年10月 8日号(10/ 1発売)

ドジャース地区優勝と初の「50-50」を達成した大谷翔平をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    アラスカ上空でロシア軍機がF16の後方死角からパッシング、信じられない映像を米軍が公開
  • 3
    NewJeansミンジが涙目 夢をかなえた彼女を待っていたのは......
  • 4
    米軍がウクライナに供与する滑空爆弾「JSOW」はロシ…
  • 5
    【独占インタビュー】ロバーツ監督が目撃、大谷翔平…
  • 6
    野原の至る所で黒煙...撃退された「大隊規模」のロシ…
  • 7
    オアシス再結成で露わになる搾取...「ダイナミック・…
  • 8
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 9
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 10
    年収600万円、消費者金融の仕事は悪くなかったが、債…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 3
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する「ロボット犬」を戦場に投入...活動映像を公開
  • 4
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 5
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 6
    【独占インタビュー】ロバーツ監督が目撃、大谷翔平…
  • 7
    アラスカ上空でロシア軍機がF16の後方死角からパッシ…
  • 8
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 9
    NewJeansミンジが涙目 夢をかなえた彼女を待ってい…
  • 10
    【クイズ】「バッハ(Bach)」はドイツ語でどういう…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 5
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 8
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 9
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 10
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中