最新記事
K-POP

NewJeans所属事務所問題で揺れるHYBE、投資指標は韓国音楽事務所で最下位

2024年9月21日(土)00時24分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
パン・シヒョクHYBE議長

昨年3月、ソウルで開かれたK-POPビジネスのフォーラムに出席したパン・シヒョクHYBE議長 Kim Hong-Ji - REUTERS

<BTSのヒットやM&Aでのし上がったが、内実はお寒い状況?>

韓国のエンターテインメント企業としては初めて大企業集団になったHYBEが、ビッグ4と呼ばれる韓国大手芸能事務所の中でESG(環境=Environment、社会=Social、企業統制=Governance)経営指標では最下位を記録した。特に、企業統制と環境でそれぞれC、B等級を受け、低調な評価を受けた。大企業集団に上がったHYBEが模範的な歩みを見せるべきだという指摘が出ている。韓国メディア、女性新聞が報じた。

韓国ESG基準院(KCGS)によると、HYBEの昨年のESG総合等級は「脆弱(C)」であることが分かった。S(卓越)からD(非常に脆弱)まで分かれるKCGSのESG等級体系で、Cは「脆弱な持続可能経営体系を構築しており、体制改善のための相当な努力が必要な状態」を意味する。韓国の4大エンターテインメント会社と呼ばれるHYBE、SMエンターテインメント、YGエンターテインメント、JYPエンターテインメントのうち、YGとともに最下位だ。

環境、社会、企業統制のそれぞれでは各々B、B+、C等級を受けた。B(普通)は「多少脆弱な持続可能経営体系を構築している状態で、体制改善のための持続的な努力が必要な状態」を意味する。環境も4社のうち最下位だ。企業統制は4社のうち、YGエンターテインメントだけがD等級でHYBEは最下位を免れた。

HYBEの持分31.57%、パン·シヒョク議長の分

HYBEの企業統制については「パン・シヒョク独裁体制」という批判が出ている。HYBEは国内エンター業界で初めて「マルチレーベル」体制を運用中だ。BTSの所属するビッグヒットミュージックを筆頭に、SEVENTEENのプレディスエンターテインメント、LE SSERAFIMのSource Music、そしてNewJeansのADORなど11のレーベルを運営している。連結対象の従属企業だけでも65社に上る。HYBEは主要音楽レーベル子会社の持分を少なくとも75〜100%保有しており、さらにHYBEの持分をパン・シヒョク議長が31.57%(2024年半期報告書基準)持っている。業界では「事実上、HYBEの筆頭株主であるパン・シヒョク議長を牽制する手段がない」と指摘する。

またHYBEは企業統制の主要な指標の一つである「社外理事が理事会議長であるか否か」を遵守しなかった。現在、HYBE理事会議長職はパン・シヒョク社内理事であり、代表理事はパク·ジウォン社内理事が各自受け持っている。「独立した内部監査部署(内部監査業務支援組織)の設置」項目も遵守しなかった。HYBEは「内部監査業務支援組織はあるが、構成員に対する人事措置などに関する権限が内部監査機構にない」と明らかにした。

最近、ミン·ヒジン前ADOR代表取締役関連の議論も、パン・シヒョク理事が事実上ADORの経営権を統括していることから始まったのではないかというのが業界の雰囲気だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中