最新記事
サッカー

【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元で7ゴール見られてお得」日本に大敗した中国ファンの本音は...

2024年9月6日(金)14時20分
高口康太(ジャーナリスト)

「三笘は...、久保は...」元サッカーメディアのAさんが漏らした言葉

試合場で知り合ったAさんもその一人だ。「中国代表は根性ゼロや」「崩壊した」と嘆きが止まらない。

彼は結婚したばかりで、新婚旅行を兼ねて試合を見に来たという。中国で代表戦を見に行くと、良い席は1人数万円になるという。日本に来れば、同じぐらいの金額で試合も見られて旅行も楽しめるとやってきた。

もっとも、奥さんはサッカーにはまったく関心がなさそうだった。漢服(中国の伝統衣装)マニアで、京都、奈良の古都で写真を撮るのが楽しみだという。試合会場にも仙女のような衣装でやってきていた。

サッカーに興味ゼロの奥さんを一切気にすることなく、Aさんは「三笘はやばい選手だ。あのドリブルは...(以下略)。久保はスペインで活躍している選手で抜群にテクニックが...(以下略)。日本代表相手に1点入れられれば御の字だが、日本を完封するのは至難の業。では中国代表はどう戦うべきか、まず...(以下略)」と熱くサッカートーク。この新婚旅行中にケンカが起きることは必至だろう。

さて、このAさんはメディア関係者で、かつてはサッカーメディアでも働いていたという。その彼がぽろっと話したのが冒頭の言葉、「自由がないと、サッカーは強くならないんだろうね」だ。

習近平総書記のサッカー好きは有名な話で、「中国代表がワールドカップに出場すること、中国がワールドカップを開催すること、そして、いつの日かワールドカップで優勝すること、これが私の望みだ」とも発言したこともある。

というわけで、総書記の夢をかなえるべく、国をあげてのサッカー強化がはじまったのだが、お手本となったのが日本だった。

習近平総書記「サッカー改革発展総体ソリューション」の結末

五輪のメダル数だけ見れば、中国は立派なスポーツ大国。ソ連や東ドイツで確立した、有望な若者を幼い頃から徹底的に鍛え上げる社会主義流強化策で成功を納めてきた。

だが、サッカーやバスケットボールなど世界に愛好家が多い人気球技の成績はいまいち。こうした種目で強くなるためには競技人口そのものを増やす必要があると提唱された。そこで模範とされたのが日本の部活動だ。

かくして2015年に「中国サッカー改革発展総体ソリューション」なる法律が公布され、「サッカー特色学校」という制度が導入されることとなった。この指定を受けた学校は、日本の部活動よろしく学校でサッカーに取り組むという内容だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英小売売上高、2月は前月比+1.0 非食品好調で予

ビジネス

ユーロ圏インフレ率、貿易戦争巡る懸念でも目標達成へ

ワールド

タイ証取、ミャンマー地震で午後の取引停止 31日に

ワールド

ロシア、ウクライナがスジャのガス施設を「事実上破壊
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 9
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中