【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元で7ゴール見られてお得」日本に大敗した中国ファンの本音は...
2025年までに5万校が指定されるという壮大な計画である。総書記の言うことは絶対、この習近平パワーで一気に中国代表は強化されると喜んだ中国人サッカーファンも少なくなかった。
が、あれから9年、中国代表は強化されるどころか弱体化する一方である。かつては禁じ手としていた外国籍から中国籍に国籍を変えた帰化選手も解禁したのだが、まったく結果は伴っていない。
結局は外見だけマネしてもダメ、自由がないという国の根幹がサッカーに反映されているのではないかとAさんは話していた。
この見解が正しいのか間違っているのかはともかくとして、「総書記パワーで中国サッカー強化」、このプランはほぼ失敗したのではないか。前述のサッカー特色学校も、今年5月発表で5734校にとどまっている。2015年の制度導入初期からほぼ増えていない。つまり、「2025年までに5万校」の目標達成は困難だろう。
経済も外交もうまくいかず、趣味のサッカーまでも失敗。習近平総書記も大変だ。
[執筆]
高口康太(たかぐち・こうた)
ジャーナリスト、千葉大学客員准教授。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。著書に『幸福な監視国家・中国』(共著、NHK出版新書)、『プロトタイプシティ』(共著、KADOKAWA、2021年大平正芳記念賞特別賞受賞)、『中国「コロナ封じ」の虚実』、『中国S級B級論――発展途上と最先端が混在する国』(編著、さくら舎)、『現代中国経営者列伝』(星海社新書)など。