最新記事
メンタルヘルス

「谷間」がまる見え、だが最も注目されたのは「肩」...ジェンナー姉妹の投稿に専門家が警鐘を鳴らすワケ

Experts Warn Against Kylie Jenner-Inspired 'Yacht Shoulders' Body Trend

2024年7月28日(日)13時05分
ラーリ・ハンコック
ケンダル・ジェンナーとカイリー・ジェンナーの姉妹が物議

Danny Moloshok-Reuters

<ジェンナー姉妹のスリムすぎる肩が「ヨットショルダー」の呼び名で新たな美のトレンドに。この流行について専門家たちは「有害」だと警告>

米セレブのケンダル・ジェンナーとカイリー・ジェンナーがスペイン旅行中にSNSで披露した、肌を露わにした装いの動画や写真が大きな注目を集めている。胸元が大きく開き、体のラインを大胆に露出した服装だったのだが、何よりも世間に注目されたのは、彼女たちの「肩」だった。現在では「ヨットショルダー」の呼び名で、女性たちの憧れの的になっているという。

■【動画】ジェンナー姉妹、セクシーすぎたバカンス写真が物議...まる見えの「谷間」より注目された「肩」

サイギャップ(太もものあいだに隙間があること)、ビキニブリッジ(非常にスリムな人がビキニを履いた際に出来る、ビキニとお腹部分との間のすき間)、レギンス・レッグ(脚が細くてレギンスが似合うこと)──。私たちはこうした有害な美の基準に慣れっこになっており、そのときどきの流行の容姿に絶えず順応するよう強いられている。

そして目下、どう考えても達成できそうにない新たな基準が、若い女性たちに押し付けられている。その最新流行が「ヨットショルダー」だ。これを受けて、体型に関する流行を妄信することには潜在的な危険が伴うと、専門家らが警告を発せざるを得なくなっている。

ヨットショルダーの火付け役は、ケンダルとカイリーのジェンナー姉妹だ。姉妹は6月に休暇でスペインのマヨルカ島を訪れた際、ヨット(豪華な大型プレジャーボート)上で写真を撮影したが、注目を集めたのは旅行の様子だけではない。何よりも目を引いたのは、2人のほっそりした肩だった。

マヨルカ島で休暇を過ごす姉妹を目にした多くの人が、新たな不安を抱いた。そして、ジェンナー姉妹のほっそりした肩と突き出た鎖骨を見たファンやフォロワーが、2人が打ち立てた「美の基準」を自らも満たそうと、肩回りがスリムになるエクササイズを検索し始めた。

ヨットショルダーは不健全で非現実的だと心理療法士

「ヨットショルダー」は、疑うことを知らない女性に新たな不安を植え付けただけではない。「こうあるべき」という体の基準や体型、サイズを、トレンドとしてとらえるべきではないという怒りにも火をつけた。なぜなら、醜形恐怖症や自己肯定感を巡る問題、摂食障害につながりかねないからだ。

「カーダシアン一家が火付け役となった多くのトレンドと同じく、ヨットショルダーもまた、女性の体に対する不健全で非現実的な期待を助長するものだ」。心理療法士のシーナ・ホーイは本誌にそう語った(カーダシアン一家は、ジェンナー姉妹が属するファミリーで、リアリティ番組で有名になった)。

「欠点のない完璧なセレブの写真を目にすると、その瞬間に、羞恥心と欲望が混ざり合った、目立たないが強力な感情が湧きおこる」とホーイは続ける。「その感情はたいてい、次のように変化する。写真を目にすると、まずは羨ましいと感じる。その羨ましさはたちまち、自分の体に対する恥ずかしさへと変わる。そして、自分の体を変えたいという、ある種の欲望へと変化していく」

「そのあとはたいてい、すぐに結果を出そうとして偏ったやり方に手を出す。たとえば、厳格なダイエット法やトレーニング、食事制限などに取り組み、食べ物と体の関係が不健全になる。そうした偏ったやり方が失敗すると(必ず失敗するのだが)、自分の不安の原因になったセレブではなく、自分に問題があると自責してしまうのだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ガザ停戦合意の修正案提示に向け協議中=国務省

ワールド

トランプ氏暗殺未遂の男を訴追、銃不法所持で 現場に

ワールド

マスク氏「誰もバイデン氏やハリス氏狙わない」と投稿

ビジネス

NY外為市場=ドル/円1年ぶり安値、FRB大幅利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優雅でドラマチックな瞬間に注目
  • 2
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰だこれは」「撤去しろ」と批判殺到してしまう
  • 3
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将来の「和解は考えられない」と伝記作家が断言
  • 4
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 5
    バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警…
  • 6
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 7
    広報戦略ミス?...霞んでしまったメーガン妃とヘンリ…
  • 8
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 9
    原作の「改変」が見事に成功したドラマ『SHOGUN 将軍…
  • 10
    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 4
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 5
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 6
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 7
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 8
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 9
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 10
    33店舗が閉店、100店舗を割るヨーカドーの真相...い…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 5
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 6
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 7
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 8
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 9
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 10
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中