警察すら動かない「日本の沈黙」が助長させた...「堕ちた帝国」の進むべき道とは?
The Rise and Fall of a Dynasty
ある大手音楽レーベルの元幹部によれば、電話してきて、誰を起用すべきかを「強く推薦」するのは、姉のメリー(故・藤島メリー泰子)だったという。
「強権的だったのはメリーのほうだ」。この人物いわく、「そうしたDNAを受け継いでいたのは、ジュリー(メリーの娘で、19年のジャニーの死後、社長を務めた藤島ジュリー景子)よりも、飯島さん(元幹部の飯島三智)だった」ということだ。
メリーの強権ぶりは、映画プロデューサーの奥山和由も最近、X(旧ツイッター)への投稿で振り返っている。
奥山が1989年の映画『226』にジャニーズ事務所を退所した俳優の本木雅弘を起用しようとすると、メリーから電話があり、再考を促された。奥山はそれでも本木を起用したが、それ以降、ジャニーズ事務所からは「出禁的待遇」になった。
35年前の話。
— 奥山和由 Okuyama Kazuyoshi (@teamokuyama2017) August 29, 2023
「226」ジャニーズをやめたばかりの本木雅弘をキャスティング。メリー喜多川さんより「よく考えて」と。「ダメならハッキリそう言ってください」と返事。「ダメとは言わない、もう一度よく考えて」と。熟考して魅力を感じての配役、本木で決行。
あれ以来ジャニーズ事務所、出禁的待遇。
喜多川の性的虐待が報道され始めて以降、日本の音楽業界関係者は(依然として匿名だが)この問題について強い思いを私に語るようになった。
そうした業界関係者の見方はもっぱら、事務所が喜多川の性的虐待を隠蔽してきた可能性が高いというものだ。
しかし、日本社会で権力を握っている人たちの協力がなければ、隠蔽は不可能だっただろう。「日本のメディアは報道する義務を怠ってきた......沈黙し続けた。そうやって、ほかのあらゆる罪が犯される土壌をつくった」と、ある業界幹部は言う。