「男たちの胸板は変わらず分厚いが、物語は薄い」──ラップダンスの魔法がとけるとき
A Teaser of a Finale
2作目『XXL』でマイクとつるんでいたストリッパー仲間は、海外からのビデオ会議の画面に一度だけ登場する。ロンドンのショーのために雇われた色男たちは名前さえなく、個性のある人物として描かれることはない。
前2作の奔放な魅力は、Tバックとネクタイ(だけの)後ろに本物の男たちがいると感じられたからだ。ガソリンスタンドのレジ係を笑顔にするためだとしても、それぞれの男に野心と踊り続ける理由があった。
マイクがマックスの前で仕事としてプライベートダンスを披露する情熱的な場面で、彼女は「ハッピーエンドは来ない」と言う。結局のところ、彼女はその夜(2人はセックスをすることになる)についても、「マジック・マイク」についても間違っている。
ストリッパーから家具職人になり、バーテンダーになり、ショービジネスの起業家に。マイクはついに、エロチックなダンサーとしての才能を将来のキャリアに変える方法を見つけたようだ。
その新しいキャリアが前2作のヒットナンバーの焼き直しで成り立つのなら、この物語の結末にふさわしいのかもしれない。『ラストダンス』は、「マジック・マイク」シリーズのライブショーの予告編のようでもあった。
いっそのこと裸のブラザーたちを呼び戻して、ステージで腰をくねらせてグラインドを披露し、オイルで輝く体でハグをする。そのほうがシリーズのフィナーレらしかったかもしれない。
MAGIC MIKE'S LAST DANCE
『マジック・マイク ラストダンス』
監督╱スティーブン・ソダーバーグ
主演╱チャニング・テイタム、サルマ・ハエック・ピノー
日本公開中