咀嚼し、言語化し、言葉を選りすぐる──言葉のプロが「若」と慕う、羽生結弦の発信力
羽生さんファンの優しさと懐の深さ──ツイッターで噛み締める
このごろは若への思慕の情を古巣時代に始めたツイッターで、勝手気ままにつぶやいています。羽生さんファンとツイッターを通じてやり取りできる僥倖にも恵まれ、感謝しています。
いつも驚くのは駄文への反応数の多さです。時に反応は10万を超え、羽生さんを敬慕なさる方の層の厚さと懐のでかさにたじろいでしまいます。
日本国内だけでなく、スペインやメキシコ、中国、米国、台湾など海外の羽生さんファンからもコメントを頂戴します。時折、判読不能の文字によるご返信もいただき、「地球以外の星からのメッセージに相違なし」と勝手に判断しています。「羽生さんファンは全宇宙に」と書くのはそのためです。
当方が短大に入学して習得必須のピアノ実技でもがき苦しんでいると、ご自身の演奏なさる動画を添えて弾き方を教えてくださる。縫い針で指を刺しながら挑んだ実習用名札作りの顛末を愚痴ると、不細工な名札を「きっと子どもに喜ばれますよ」と褒めてくださる(実習でお邪魔した幼稚園でまさにその通りに)。保育士や幼稚園教諭の経験のある方が「期待しています」と叱咤激励のお言葉を掛けてくださる。
羽生さんファンの皆様に、へろへろよれよれの当方がどれだけ勇気づけられてきたことか。
音楽家から10代の同級生までを魅了する若よ!
長々としたためました。しかし、当方の独善的な言い分のみでは羽生さんの魅力を語り尽くせません。そこで元記者の端くれとして、私が通う東筑紫短期大学で聞きました。
清塚信也さんが編曲したピアノ演奏バージョン『序奏とロンド・カプリチオーソ』での演技では、清塚さんの美しい澄んだ優雅な音に重ね合わせるような、羽生さんの切ない表情、そして希望に手を伸ばして掴み取る演技に、心が震えて涙しました。序奏は「静」を表現していて孤独の影が見え隠れし、カプリチオーソになり躍動感あふれる「動」に移る。最後のベースのトゥリラーとAマイナーの重厚な和音に堂々とした威厳を感じました。清塚さんのピアノの調べと羽生さんの氷上での舞いが融合されて、世界を魅了した作品だったと思います。 ──津山美紀氏(保育学科教授、音楽担当)
フィギアスケートでは、歌(歌手)入りの曲を使えるようになりました。これにより表現力の世界が広がったと思います。歌詞にいろいろな思いを込められるので、演技者はそれをどう氷上で表現するか。羽生選手は曲の盛り上がりでのスケーティングの表現、そうでないときの表現を理解し、「美」も取り入れスケートとの融合を考えているように感じます。
──北嶋季之氏(保育学科准教授、音楽担当)
ほかの選手との違いは、曲のリズムをスケーティング(足の動き)で表現し、楽曲自体を上半身で表現しているところ。他の選手にはできないと思う。国民栄誉賞表彰式でのスピーチ、「僕にしかできないこと、僕しか感じてこられなかったこと、僕しか学べなかったことを伝えていける存在になりたい」が忘れられない。
──笹部聡子氏(保育学科准教授、ピアノ劣等生の私を指導)のご母堂(ピアノ教師)
幼稚園でリトミックを教えています。リトミックは、感じたものを感じたままに表現するもの。「リトミックを続けていると、こんなに表現が上手になるよ」という具体的なお手本になるので、子どもたちにもぜひ、羽生さんの表現を見てもらいたいです。
──児玉亜由実氏(保育学科助教、「幼児体育」担当)
滑っている時の姿と、ステージから上がった時の素の姿のギャップが好きです。テレビで何度も努力している姿を見てきました。ファンからは「かわいい」「かっこいい」の両方の言葉を聞きます。その両方を持っているからこそ出せる魅力があるのだと思います。
──中村百華(ももか)さん(同級生)
高い柔軟性による芸術的なスケート技術がすごい。演技中にみせる驚異の集中力。スケートに対する情熱と執念。高い自己分析と有言実行。いろんな人への気配り。プーさん愛が強い。
──山田美羽(みはね)さん/山本葵さん(1年生)