香川照之、降板ラッシュよりも痛い最大の痛恨 「ヒール」は演技ではなく本当の姿?
悪役は演技ではなく本当の姿なのか
香川さんの謝罪を報じたニュースのコメント欄には、「謝罪というよりドラマの1シーンみたい」「この反省した演技力見習いたいですね」などの感想をあげる声が目立ちました。奇しくもその約8時間前、香川さんは出演ドラマ「六本木クラス」(テレビ朝日系)で迫真の謝罪シーンを行ったばかり。しかも「反省した姿を演じて人々をあざむいている」というシーンだっただけに、その姿を重ねて皮肉交じりの言葉を浴びせたくなるのも仕方がないでしょう。
しかし、その「謝罪は芝居では?」と思わせてしまったことこそが今回の騒動における最大の過ちかもしれません。これまで香川さんは「日本を代表する名優の1人」と言われてきましたが、今回の一件で「悪役の演技がうまいのではなく、本当に悪い人だった」とみなされかねないのです。つまり、「香川さんにとって拠りどころのはずである演技にケチがついてしまった」ということ。俳優は人から見られることで成立する職業であり、その上手下手には明確な基準がない以上、このイメージは痛恨でしょう。
事実ネット上には次のようなコメントがありました。「結局香川という男は、ドラマとか映画でありのままの自分の姿を脚本の中の役として演じていたわけで、なるほどそれはそれで臨場感もあるし迫力もあるし、彼にとっては至極簡単だよね」。
香川さんは降板発表の翌2日朝も「THE TIME,」にVTR出演し、約4分間にわたる謝罪を行いましたが、内容は1週間前からさほど変わっていませんでした。むしろ「私のこれまでの人生」「俳優というのは......」などの自分語りや、「愛する『THE TIME,』」「私も楽しみに朝早起きしてこの番組に臨んでおりました」などの未練をのぞかせる姿は、いい人を演じている悪役に見えた感すらあります。
香川さんほどの俳優であれば、年内の作品はもちろん、1~3年先までスケジュールが埋まっていることも十分考えられますが、それらは白紙に戻されてしまうでしょう。その理由は卑劣な行為だけでなく、「俳優・香川照之を見る視聴者の目が変わってしまった」ことが大きいのです。
セクハラよりも危うい選民意識
また、香川さんがメディアと世間の人々を「甘く見ていた」ところも見え隠れしています。2010年代後半以降、芸能界は不倫報道が相次ぎ、多くの芸能人がメディアとSNSによって叩かれ、活躍の場を失っていきました。そんなスキャンダルリスクの高い状況下の中、このような行為を行ってしまったのは、「不倫ではないから」「夜のお店だから」などと思っていたからだけでなく、メディアと人々の影響力を甘く見ていたからではないでしょうか。
「甘く見ていた」は、そのほかにも、「報道・情報番組のキャスターを受けたこと」「世界的企業のトヨタ自動車などのCMに出演したこと」「歌舞伎界に多大なる迷惑をかけること」などもそうでしょう。いずれも責任の大きさと、降板リスクの高さを甘く見ていた感があります。
2日の「THE TIME,」は代理MCを安住紳一郎アナが務め、翌週からは江藤愛アナを中心に3人のアナウンサーが担うことが発表されました。香川さんがネット上で「働きすぎ」と心配される安住アナと江藤アナをはじめ、番組関係者に負担をかけていることは間違いないでしょう。