時代遅れになるボリウッド コロナ禍と動画配信の台頭で興行不振
ロイターが複数の映画ファンやプロデューサー、配給会社、映画館運営会社などの業界関係者に取材したところ、ボリウッドはもはや黙っていても観客が見込めると考えてはならず、生き残って再び隆盛期を迎えたいならば時代に順応しなければならないと訴えた。
4人の業界幹部は、業界内に広がる混乱や不安の背景をこう描写する。各製作会社はパンデミック前の市場であればヒットしたであろう作品を公開している一方、消費者の好みは動画配信、すなわちインターネット回線で提供されるコンテンツサービス(OTT)の台頭とともに変化が起き、そこにずれが生まれている、と。
インド第2位のシネマコンプレックス運営企業INOX幹部のシン・ジアラ氏は、製作サイドとのやり取りを踏まえ、プロデューサーは脚本の練り直しを急ぎ、俳優への出演料を前払いではなく興行成績と連動する形に切り替えることを検討していると明かした。
一方でジアラ氏は「本当の問題が何なのか誰も分かっていない。パンデミック期間中は映画が1本も公開されず、人々はOTTでさまざまな種類のコンテンツを視聴する時間がたっぷりあった。だから2年前に成功していたコンテンツはそれが何であれ、今ではもう全く価値がない」と話す。
ともかくも業界はすぐさま現実に適応しなければならない。
ある大学の研究によると、ボリウッド映画は収入の75%近くを映画館の興行収入に依存していることが分かった。米国映画協会のデータによると、世界全体では映画の興行収入への依存度は50%未満だ。
見えない正解
ボリウッド映画のファンからは、進化を遂げて存在感を維持することはできるとエールも送られている。例えば最近の社会情勢をより適切に反映させるために、ゲイの人たちの関係や性転換した人物を作品に取り入れることはそうした進化の1つとみなされる。
ニューデリーの大学生は「話の展開が問題で、過去2年間に視聴者は非常に多くの新しいテーマにさらされ、新しい考え方を提示されてきた。それこそボリウッドに欠けている分野ではないかと思う」と自身の見解を披露した。