河瀨直美監督の「東京五輪」映画を、「駄作」扱いするのは大間違いだ
Tokyo 2020 Redux
レニ監督と同じ帰結に?
河瀨は今、同じような岐路に立たされている。五輪を分断の象徴と見なす批判はいまだ根強く、河瀨が採用した戦略が十分な社会的理解を得ているとは言い難い。東大入学式祝辞や映画撮影ハラスメントなどの言動に関して社会的指弾を浴びる河瀨は、レニと同じく政治的無垢の存在だ。
この映画が語り続けられレニ同様の胎行化という帰結を避けられるかは、河瀨が子供の無垢だけでなく大人の老練を備え、作家の倫理性だけでなく作品の公共性を磨くような創作を今後続けていけるかに懸かっている。

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