カン・ハンナ「私のおすすめ韓国映画5本」とマブリー愛、韓国映画が面白い理由
おすすめする理由の1つは、刑事を演じた主演のマ・ドンソク。いま韓国映画と言えば、彼を語らないわけにはいかない。
苗字とラブリーと掛け合わせて「マブリー」と呼ばれるけれど、私も大好き。かわいいですよ。一度会ってみたい。
『犯罪都市』はマブリーのよさが一番出ている作品だと思う。モデルになった刑事が韓国の番組に出ていたが、彼に本当によく似ていた。その話題性も映画の人気を後押しした。演じた刑事は、屈強な人物だが、酔いつぶれて寝坊するなど人間味があって笑わせるし、共感を呼ぶ。マ・ドンソクという韓国映画界に登場した一人のスターを味わってほしい。
マ・ドンソクは高校生のときにアメリカに移住していて、実はアメリカ国籍だ。英語も堪能だし、「チーム・ゴジラ」という会社を作って映画のシナリオ開発にも携わっている。『犯罪都市』のシナリオにも少し関わっているらしい。
キャラクターが魅力的だし、役者であり、作り手でもある。ものすごい才能で、今後の活躍が楽しみ。
最後に紹介するのは、『完璧な他人』(2018年)。珍しいケースだが、イタリア映画のリメイク版だ。面白いのは、この韓国版がベトナムでリメイクされたこと。韓国のスタッフが顧問として入り、ベトナムでも大ヒットしたようだ。
アジアからアジアへ。韓国映画の発展とグローバルなコンテンツの広がりを示す、面白い例だと考えている。
この映画は、物語の95%が家の中のリビングルームで起こる。40歳を超えた幼なじみの男たちとその妻、3組の夫婦と男性1人の計7人が、引っ越し祝いで集まって食卓を囲む。
ただ座ってしゃべっているだけで、大きなスクリーンで観ないといけない作品でもないのに、530万人もの観客を動員していた。それで気になって観てみたら、これが面白い!
精神科医である1人の女性が「全員スマホを机に置いて、届くメールやかかってくる電話を全て公開しよう」と言う。結論だけ言うと、秘密は大事だよね、と。秘密が全てオープンになり、みんなボロボロになってしまう。
まさにブラックコメディー。この映画をきっかけに、ブラックコメディーというジャンルがこれから盛り上がるかもしれない。
観客は40代が多かったらしく、30代、40代の人たちには「そう来るか!」と思わせる場面もあれば、「分かる~」というせりふもある。出演しているのは、演技力と言えばこの人という俳優ばかりで、キャスティングが素晴らしい。
韓国では通常、映画に出る俳優とテレビドラマに出る俳優は異なる。大学で4年間、演技を学問として修めなければよい役者になれないとされ、アイドル出身だと映画にはなかなか出演できない。この映画はまさに映画俳優たちの作品。