最新記事

インタビュー

ドリブルデザイナーになり、全てを手に入れた岡部将和は「夢ノート」を書いていた

2021年4月12日(月)16時40分
吉田治良(スポーツライター)

soccerbook20210412invu-4.jpg

ネイマールなど名だたるサッカー選手とコラボ・対談を果たしている(ドリブルデザイナー岡部将和 Dribble Designer OKABE-YouTubeより)

「人生を長く生きている人は全員が指導者」

──『自分の武器の見つけ方』の中で、人生の夢を実現するために「夢ノート」を作ろうと呼びかけられていますね。岡部さん自身も作られているんですか?

ちゃんと形にしたのは、サッカー選手を引退してからですが、それからは書いた分だけ、夢が叶っていますよ。

──そうやって夢を言語化することって大事なんですね。

自分の中でゴールまでの筋道を整理し、想像することができれば、夢は叶いやすくなりますからね。

──今の子供たちは、言語化することが上手なんですか?

うまくいっている子ほど、言語化が苦手かもしれません。才能だけで結果が出ていると、自分と向き合う必要がなくなってしまいますから。

──できるだけ早いうちに、目標を定めるべきだと?

僕はそう思います。ただそれには、親御さんが背中で導いてあげることが大切なんです。お父さん、お母さんが楽しんでいる姿、挑戦している姿が、子供の挑戦を駆り立てるきっかけになる。

──『自分の武器の見つけ方』というタイトルに込めた想いは?

自分らしくあることが、すなわち特別な武器になる。誰かのまねをして生きるのは、それがどんなにうまくいっても幸せじゃない。タイトルに込めたかったのは、「自分らしく楽しめる形を見つけよう」というメッセージですね。

──自分らしくチャレンジして失敗した子には、どんな風に指導しますか?

親御さんも含めて、人生を長く生きている人は全員が指導者だと僕は思っていて、そうやってつまずいた子に、「失敗だなんて思わないで!」「僕を見ろ」「私を見ろ」と言える人が世の中にあふれたら、すごくいいなと。

勇気を出して挑戦した先に失敗はないよ、失敗は成功のかけらで、それを集めたもん勝ちだよって、さっきも言いましたけど、自分の背中で伝えられるようになれたらいいですね。

soccerbook20210412invu-5b.pngsoccerbook20210412invu-6b.png

「なぜ言葉にして考えるといいのか」と、サッカーテクニックの解説でありながら、サッカーに限らず人生の役に立ちそうなヒントも(『自分の武器の見つけ方』より)

──岡部さん自身の一番の挫折は? プロになれなかったことですか?

それはまったく挫折と思っていなくて。後悔があるとすれば、挑戦しなかったことになるんですが、今のところないんですよ。常に挑戦し続けてきましたから。

──岡部さんはジュニアユースの頃までパサータイプ(パスを出す選手)で、最初はドリブルが武器ではなかったんですよね? ドリブラーに変わるきっかけがあったんですか?

高校生の時に、当時神奈川県で一番強いと言われていた桐蔭学園と対戦して、0-5か0-6で大敗したんです。その時、「なんであんなにいいパスを出してるのに決めてくれないんだよ」って仲間を責めている自分がいて。でもそこで周りを見ると、みんなが『お前もだけどな』って顔をしていた。

自分もできていないのに、チームメイトのせいにして逃げようとしていることが恥ずかしくなった。だったら、「僕がドリブルで4、5人抜ける選手になろう」って決めたんです。あそこで気付けたのは、本当に幸運でした。

──目標を掲げること以前に、そういった気付きが大切なんですね。

そうですね。それは周りへの感謝の気持ちから来るものだと思うんです。自分はチームに生かされて活躍できているとか、お父さん、お母さんのお陰でサッカーができてるとか、そんな風に思えていたら、きっと僕のようにはならない(笑)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独クリスマス市襲撃、容疑者に反イスラム言動 難民対

ワールド

シリア暫定政府、国防相に元反体制派司令官を任命 外

ワールド

アングル:肥満症治療薬、他の疾患治療の契機に 米で

ビジネス

日鉄、ホワイトハウスが「不当な影響力」と米当局に書
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 5
    トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能…
  • 6
    「私が主役!」と、他人を見下すような態度に批判殺…
  • 7
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 8
    「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善..…
  • 9
    「スニーカー時代」にハイヒールを擁護するのは「オ…
  • 10
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 3
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 4
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 5
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 8
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 9
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 10
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命を…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中