ソフトバンクG株式非公開化の現実味、アーム売却で高まる観測
コロナ後への備えも
アーム株の売却は、コロナ収束後をにらんだ布石との見方もある。SBI証券の森行眞司シニアアナリストは「新薬などの開発が進んで市場が好転するなら、手元資金が潤沢な方が投資戦略の自由度が高まる」と見ている。
「投資会社に生まれ変わった」(孫社長)というSBGが重視する経営指標は、事業会社などで重視される営業利益などではなく、保有株式から純負債を差し引いた「株主価値」だ。
「株価は2000年のネットバブル以降高いところまできたが、株主価値に対してはディスカウントがついている」と、SBGの孫正義会長兼社長は8月11日の決算会見で不満を述べている。同日の株主価値は24兆4000億円で、時価総額はほぼ半分にとどまっていた。
こうした市場の評価と会社側の認識のギャップが、非公開化の観測につながっている面もありそうだ。上場のメリットの1つは新株発行を通じた資金調達だが、株価が十分に高まっていなければ、調達できる額もその分、目減りしかねない。むしろ非公開化して「投資戦略の自由度を担保した方がいいという判断もあり得る」と、SBI証券の森行氏は指摘する。
(平田紀之 編集:久保信博)
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