最新記事

私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】

横浜の和菓子店、上生菓子に一目ぼれした中国人店主の「おんがえし」

2020年2月6日(木)18時40分
宇佐美里圭(本誌記者)

職人たちの和菓子に対する情熱と努力を肌で感じた現場での学びは大きかった。そのとき培った人脈は、その後あちこちで生きることになる。

magSR200206chinese-yusetsubai-5.jpg

RIKA USAMI-NEWSWEEK JAPAN

自分の店を開くときには遠方から手伝いに来てくれたり、機械を譲ってくれた職人までいた。餡(あん)作りで悩んでいたときは、ある和菓子店の社長がわざわざ店まで来て作り方を指南してくれた。

だから、熊の作るどら焼きの名前は「おんがえし」。多くの人にお世話になった感謝の気持ちを込めた。

magSR200206chinese-yusetsubai-6.jpg

RIKA USAMI-NEWSWEEK JAPAN

「人に恵まれていた」と熊は笑うが、きっとそれは彼女の一生懸命な姿に周囲が魅せられ、自然と手助けしたくなったからだろう。

たった1人で来日し、夢を実現した熊の行動力はどこから来るのだろうか。「不安よりも、どうやったら前に進めるかという悩みで頭がいっぱい。和菓子を作りたくて日本に来たのに、中途半端で帰るのだけは避けたいという気持ちですね」

magSR200206chinese-yusetsubai-7.jpg

RIKA USAMI-NEWSWEEK JAPAN

将来の夢は日本で自分の和菓子が認められること、そして中国に子会社を出すこと。和菓子を通して日本と中国の文化の橋渡しができたら......と思っている。

<2020年2月4日号「私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】」特集より>

「私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】」より
「中国人」とひとくくりにする人たちへ──日本との縁を育んできた中国人たちの物語
日本一「日本」を伝える中国SNSの女神「林萍在日本」
「保育園」のない中国に、100%日本式の保育施設をつくった上海女性
中国人コスプレイヤー、同人誌作家、買い物客はこんな人たち(コミケ97ルポ)

20200204issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月4日号(1月28日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】」特集。声優/和菓子職人/民宿女将/インフルエンサー/茶道家......。日本のカルチャーに惚れ込んだ中国人たちの知られざる物語から、日本と中国を見つめ直す。

【参考記事】●「韓国人」とひとくくりにする人たちへ──日本との縁を育んできた韓国人たちの物語

20200211issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月11日号(2月4日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集。歌人・タレント/そば職人/DJ/デザイナー/鉄道マニア......。日本のカルチャーに惚れ込んだ韓国人たちの知られざる物語から、日本と韓国を見つめ直す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中